ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

アイドリング

新明解がよいと思う項目を。

まず悪い例から。三国に登場してもらいます。

 

  アイドリング  機械の、からまわり。エンジンの、からふかし。「-ストップ」 

                      『三省堂国語辞典

 

これは、何だか30年くらい前の語釈という感じです。

 

  からまわり  前へ進まないで、車輪などがむだに回ること。

  からふかし  自動車を走らせないで、アクセルをふんでエンジンの回転を高くすること

                      『三省堂国語辞典

 

どちらも、「アイドリングストップ」に当てはまらない説明です。

では、新明解を。

 

  アイドリング  機械を作動させ(エンジンを低速で回転し)て、動力を伝えること無く、空回りさせること。

  アイドリングストップ 〔和製英語 ←idling+stop〕 〔自動車で〕

  二酸化炭素排出の削減などのために、駐停車の間エンジンを完全に停止させること。
                      [新明解国語辞典第七版]

 

これでぴったり、という感じがします。

新明解は、変なところをきちんと直せば、非常にいい辞書だと安心して人に勧められる辞書になる、といつも思うのですが、そう思った次の瞬間に、またひどいところを見つけてしまうのです。その話はまた別の機会に。