ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

自動詞・他動詞(3)

自動詞と他動詞の話の続きです。

これまでの結果と、さらにいくつかの動詞を加えて表にしてみました。

             新明解  明鏡  三国  岩波
    持ち寄る         自    他   他   他
    喜ぶ     自    他  自          他
    怖がる    自          他     なし     自
   焦る            自   自他  自     自  
    忍ぶ             自他     自他     自他       他
    頼る     自他    (自)他    自他         他
    急ぐ     自他     自他     自他    自他
   嘆く       他        他     自他       自他
    誇る      他   他  自他   自
    働き掛ける     他   自        自      自

 

編者がそれぞれの判断で自他を決めているということがよくわかります。

小学校か中学校あたりで議論になったら先生はどうするのでしょうか。

中学生に議論させたら面白いかもしれません。自分で考える訓練になっていいと思います。

 さて、日本語学国語学の研究者たちはどう考えているのか。

 私は、格助詞「を」をとる例があるなら、基本的に他動詞とすべきだと思います。はっきりと移動の意味を表すものは別にして。

つまり、上の動詞はみな「他」です。「自他」とするかどうかは次の問題で、どういう基準でそう見なすか。これはかんたんには言えません。