ことば・辞書・日本語文法(2)

日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

お昼

「お昼」という語について。

三省堂国語、新明解にはこの語はありません。「昼」はもちろんあり、「お」をつけた用例ものせていますが、「お昼」という形で項目とする必要は感じていないようです。

明鏡は「おひる」という項を立て、次のように書いています。

  「昼」「昼飯」の美化語。「━までには戻ります」「━は一緒に食べ   

   ましょう」             明鏡国語辞典第二版

とりあえず、これでいいでしょう。

岩波は簡潔そのものです。

    ①ひる。②ひるめし。   岩波国語辞典第七版

まあ、これでわかりますが、、、。

大辞林大辞泉は、二つに分けて、きちんと書いています。

   ①昼を丁寧にいう語。「もう-になった」②昼食。「-にしましょう」  

                    大辞林 第三版

   1 「昼」の美化語。㋐正午。㋑昼食。「お昼の支度をする」  デジタル大辞泉

 「お昼」の面白いところは、「朝」や「夜」には「お」をつけられないのに、「昼」だけは「お」が付けられる、ということです。国語辞典に、そこまでの情報を求めるのは高望みだとは思いますが、書いてあると利用者には有益なんだけど、と思います。

なぜなんでしょう?

ことばに対して、「なぜそう言うのか」を考えてみてもしかたのないことだとは十分わかっているつもりでも、なぜ昼だけなんだろう、と考えてしまいます。

日本語教育の立場からすると、「お昼」が言えるとわかった学習者は、「ていねいな」言い方のつもりで、「お夜を食べに行きます」と言いかねませんから、「昼」は特別なんだ、と教えなければなりません。では、なぜ「昼」は特別なのか、と聞かれたら、、、、わかりません、と言うしかない。

似たような話は、動物の呼び方で、「おさるさん」「お馬さん」は言うけれども、ほかの「牛」や「猫」や「犬」には「お~さん」は言わない、言えない、ということがあります。(ただし、子供との話の中で、ですが)

「おさかなさん」というのもあります。

これも、なぜなんでしょう。

こちらは、日本語教育ではふつう扱わない呼び方なので、日本語教師としては気にしなくてもいいのですが、「お昼」は日常使われる言い方なので、教えておかなければなりません。

ことばというのは、いろいろ面白いものです。