ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

青・青い

三省堂国語辞典の「青」を見ながらごちゃごちゃと。

  あお 青 ①色の一つ。秋晴れの空や深い海の色。

ふむ。秋晴れに限定する意味はあるのでしょうか。単に「晴天の空」ではだめなのかしら? 「深い海」は「深海」ではないのでしょう。ただし、海の色も晴天のときに限ります。雨の日には青くないでしょう。

  ②みどり色。「-葉・-虫」〔信号の青は、進行・安全を意味する〕

急に信号の話をされても。まずは「-葉・-虫・-信号」のように、「みどり色」の例として出すのが先です。

  ③〔馬の〕つやのある黒い色。

これは「黒」なのか、それとも「青みがかった黒」なのか。

  大辞林 ③馬の、青みがかった黒い毛色。また、その毛色の馬。

  明鏡 ④馬の毛並みが青みがかった黒色であること。また、その馬。青毛

どちらなんでしょうか。

なぜか人の場合は緑ですね。三国の「緑」の項から。

  みどりなす【緑成す】(連体)〔文〕②「-黒髪」〔=緑の黒髪〕 

  緑の黒髪〔文〕〔若い女性などの〕黒くてつやのある、長い髪の毛。

これは、実際に緑がかっているわけではないのでしょう。

草木の繁茂することからの連想でそう言うのでしょうか。では、馬は?

 

「青い」についても一言。

  ①青の色だ。「-目〔=西洋人〕のお客さま」

こういうステレオタイプはいい加減やめてほしいと思うのですが、どうでしょうか。

そういう言い方があるのは事実ですが、辞書がそれを無批判に載せていいのかどうか。西洋人とはいったいどういう人を言うのか。インド系イギリス人も、中国系フランス人も、日系のドイツ人もいるでしょう。そういう現実を知らないのか。

その人たちは「西洋人」ではない? 

そういう話以前に、スペイン人・イタリア人の目の色って、どうなんでしょう?

どうしても「青い目」のことを言いたいなら、

  青い目(俗に、西欧の白人を指す)のお客さま

とでもしておきますか。それでも、何だか軽薄な用例のように感じますが。