ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

愛煙・愛飲

やっと色の話を離れて、今度は「愛」にまつわる語を。

 

  愛煙(名・他サ)タバコが好きなこと。「-家」  三省堂国語辞典

 

広辞苑、明鏡、新明解は「愛煙」はなく「愛煙家」のみ。つまり、「愛煙」だけで名詞として使うことはない、という判断でしょう。確かに、「愛煙を/が/に」という用法はほとんどありません。「愛煙の」はそれなりにあるようです。「愛煙の銘柄」という言い方は、私にも自然に感じられます。

三国は「愛煙する」という動詞を認めています。これは新しい情報で、ネットで検索すると例が多くあります。

でも、せっかく他の辞書にない、新しい用法だというなら、用例がほしいですね。「この銘柄を-している/する人は多い」とか。

 

  愛飲(名・他サ)〔酒・コーヒーなどを〕日ごろから好んで飲むこと。「-者優待」

          三省堂国語辞典

 

まあ、悪くはないんですが、もう少し限定したほうがいいような。

 

  好んで飲むこと。「辛口の酒を-する」   広辞苑

  特定の飲料をいつも好んで飲むこと。「吟醸酒を-する」   明鏡

 

これらの例のほうがわかりやすいと思いませんか。しかし、なんでお酒ばかりなんでしょう。編集者がおじさんだから?

 

  飲み物のほか、たばこやサプリメントなどについて言うこともある

             三省堂現代新

 

こういう説明を付ける辞書もあります。