ことば・辞書・日本語文法(2)

日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

PQRSTUVWXYZ

アルファベットの残りをまとめて。三省堂国語辞典を中心に。

 

   ピー ①[p]〔音〕←ピアノ②。②[p.]←ページ2。③[P]〔←parking〕駐車場。④〔俗〕〔野球で〕←ピッチャー・ピッチング。「-ゴロ・ナイス-!」⑤[P]〔俗〕〔テレビ・ラジオ番組などの〕プロデューサー。「山田-」

  新明解
    ①【P】〔野球で〕ピッチャーの略。「-ゴロ」
    ②【p】〔楽譜で〕「ピアノ」の略記号。
     

明鏡には項目がありませんでした。三国はよく書いていますね。

三国のN、Oに何の記述もなかったのは、重要性が低いからではなく、そこを担当した執筆者がアルファベットを扱うべきだということに気付かなかったのでしょう。そして、編集者が体系的な記述ということを考えていなかった、ということです。

 

  キューQ ①〔←question〕問い。(⇔A) ②→クイーン②。③→級数②。④キュー(cue)②。   (三国)

 

明鏡、新明解はなし。(以下、これらの辞書に触れないときは、項目自体がない場合です)

 

  アールR〔←radius=半径〕曲線(のきつさ)。「-〔=丸み〕をつける・-のきつい〔=急カーブの〕道路」  (三国)

 

それよりも、「パイアール自乗」の「アール」が要るんじゃないかということを、ずいぶん前に書きました。

 

   エスS ①〔←small〕〔商品のサイズの〕小型。「-サイズの制服」(⇔L・M)  
     以下略記 ②納戸 ③サディスト ④女学生の同性愛 ⑤スパイ ⑥覚醒剤の一種 ⑦シングル

  明鏡
   ① 衣料品などで、大きさが標準より小さいこと。また、その物。M・L 「Sサイズ」または「S判」の略。「S」は、small の頭文字から。
   ②〔俗〕女学生どうしなどのきわめて親密な間柄。また、その間柄にある相手。sister の頭文字から。◇Sという記号は、ほかに、南や硫黄(元素記号)を表す。
  新明解
    【S】〔←sister〕女学生の同性愛(の対象)。 

 

あいかわらず、新明解は記述が偏っています。「Sサイズ」というのは、喫茶店でもよく使う表現です。

 

  三国

   ティーT ①←Tシャツ「ちび-」②〔←tournament〕〔文〕トーナメント「決勝-」③〔←twin〕〔文〕→ツイン②。△テー〔古風〕。  

   ユーU U字の形。「-ターン・-ネック・〔髪どめの〕-ピン」

   ブイV ①〔←victory〕勝利。優勝。「-3(スリー)〔=三連覇〕・-サイン〔=勝ったしるしに、指をVの字に広げた形〕・-打〔=決勝打〕」②〔テレビで〕VTR。「-を流す」

 

この辺は、三国・明鏡・新明解の3冊の中では三国だけが実際の使われ方を記述しようと頑張っています。(岩波は見ていません。どうせないでしょうから。)

  

  三国

   ダブリューW ①ワールド〔=世界〕の略字。「-杯〔=ワールドカップ〕」②ウイーク〔=週〕の略字。「G-〔=ゴールデンウイーク〕」③ウエスト〔=腰まわり〕の略字。④〔←warai=笑い〕〔俗〕〔インターネットで〕(あざ)笑うことをあらわす文字。「まさかwww」〔二十一世紀になって広まった使い方〕     

  明鏡  
      女性。また、女性的な要素。woman の頭文字から。 

  新明解
   【W】〔woman の頭(カシラ)文字〕女性(的要素)。⇔エム(M)

 

三国は、「笑い」を書いたのはいいのですが、それよりも先に「west 西」を書くべきでしょう。

 

  三国 

   エックスX ①[x]未知数をあらわす記号。まだわかっていない<数/ものごと>。未知数。

   明鏡     未知・未決定の事柄。未知数。 

  新明解

      【X・x】①〔数学で〕未知数を表わすために最もよく用いる記号。②未知の(不確定な)数や事物。エッキス 。③〔ローマ数字で〕「十」を表わす記号。  

  岩波! 未知であるもの。▽アルファベットのxを未知数の記号に使うことから。

 

「X軸」の「X」はどういう意味なのでしょうか。「未知・不確定」ではないでしょう。

新明解はここで「ローマ数字」を 言うなら、「V」のところでも「五」を表すことを書くべきでしょう。

岩波は「エックス」だけは日常的な日本語として認めています。

 

「Y」はこれらの辞書にはありません。「Z」も。

テレビで放送大学をやっていて、「エックス二乗プラスワイ二乗イコールいち」と聞こえてきたら、これは(多くの?)日本人に分かりうる日本語ではないでしょうか。それが意味することはともかく、日本語のことばとしては。

また、「Y軸」は「X軸」とセットで、中学生・高校生には必須の数学用語です。

Z(小文字のz?)は、第三の未知数としても使われます。
  

どうしてこれらの4冊の国語辞典は、アルファベットの日本語の中での使用にもっと注意深くないのでしょうか。(この4冊以外の国語辞典については、また調べてみます。)