ウイット
イた三省堂国語辞典の問題点です。
ウイット〔wit〕気のきいた<ことば/しゃれ>。「-に富んだ話」
「ことば/しゃれ」なのか、という問題です。
新明解 (略)気のきいた言葉やしゃれがとっさに出せる才知。機知。「-に富んだ話」
「(略)」とした部分の話はまたあとでするとして、三国の「ことば/しゃれ」に対して、新明解は「言葉やしゃれがとっさに出せる才知。機知。」だとしています。
他のいくつかの辞書も、「才知。機知。」としています。「ことば/しゃれ」自体ではありません。
英英辞典を見てみると、
wit the ability to say or write things that are both clever and amusing (OALD 6th ed.)
で、「 ability 」です。
もちろん、英語での意味が、日本語に外来語として入って変わることはよくあることですが、「ウィット」はその例でしょうか。それならば、それを示す用例をいくつか並べて示すべきでしょう。
三国と新明解は、語釈が違いながらも同じ用例をあげています。どちらでも用例の意味は成り立つからでしょう。
私は、単に三国の誤りだと思います。
さて、新明解の(略)の部分を見てみます。
気まずさや相手の無神経な言動、攻撃的な態度などを やんわりとかわして、その場の空気を和らげたり 自分に有利な情勢をもたらしたり する、気のきいた言葉や しゃれが とっさに出せる才知。機知。
[新明解国語辞典第七版]
「気のきいた言葉やしゃれ」をより具体的に説明しています。 頑張っているのはよくわかるのですが、限定しぎているんじゃないかなあ、という印象です。
追記
読み直してみて、新明解の長い修飾部は「気のきいた言葉やしゃれ」にかかるのではなく、「才知。機知」にかかるとも考えられる、ということに気付きました。どちらでも結局は同じこと、と言っていいでしょうか。