ウイッグ
また三省堂国語辞典です。どうも「う」の初めあたりの項目はうまく書けていません。
ウイッグ かつら(鬘)。ウィッグ。
説明はこれだけです。「ウィッグ」は別の表記、あるいは発音の問題ですから、意味の説明は「かつら」だけです。
しかし、誰でもすぐ気付くように(ですよね?)、「ウイッグ」は「かつら」と同じではありません。
かつら ①かみの毛などで美しく作り、外出するときなど頭にかぶるもの。②〔芝居などで〕頭にかぶって扮装するもの。▽かずら。
①のほうは、(「ウイッグ」の説明として)いくつかの点で足りないところがあるのはともかくとして、まあ一応の説明になっているとは思うのですが、「かつら」には②の意味もあります。それを「ウイッグ」とは言わないでしょう。
ですから、少なくとも「かつら①」とすべきです。(演劇関係者は「ウイッグ」というのでしょうか? 時代劇の場合も?)
他の辞書で「ウイッグ」を見てみると、
新明解 洋髪のかつらや付け毛。
つけげ 美しく見せるために、頭髪に付け加える別の毛(を付けること)。
まず、「洋髪」であること。「つけげ」もウイッグですね。
集英社 かつら。特に、女性用の洋髪のかつら。
特に女性用であること。男性用は「ウイッグ」と言うかどうか。おしゃれな人なら言う?
新選 女性がファッションとしてつける洋装用のかつら。
かつら ①少ない頭髪をおぎなうためにかぶるもの。②頭の形の地に、毛髪を植え、いろいろな髪形につくったかぶりもの。演劇用、女性のおしゃれ用など。
新選は「女性がファッションとして」と書いています。私は、この新選の説明がいいと思うのですが、新明解の「付け毛」も言うということを加えたほうがいいと思います。ウイッグは「かぶる」ばかりではないので。それにしても、「かつら」の①の言い方は、(正しいのだけれど)なかなかきびしいですね。