ヴ
これは語ではありません。見出し語の書き方についての説明です。三省堂国語辞典から。
ヴ ⇒ブ 例、サーヴ⇒サーブ。
これを見て、何のことかわからないということはないとは思うのですが、やはり書き方としてマズイと思うのです。
辞書の「見出し」は、
見出し ②項目の最初にしめした語句。「辞書の-語」(三国)
なので、上の「ヴ」は、そういう「語」であり、それについては「ブ」を見よ、という意味にとるのが、辞書としてのきまりだからです。(もちろん、「ブ」という項目はありません。)
上の「項目」で言いたいことは、「この辞典では「ヴ」の字を使わず、(その音には)「ブ」の字を当てる」ということでしょう。ならばそう書けばよいのです。
新選 ヴ <V;v> 外来語のVの音を表すために用いる片仮名。「ヴァイオリン」「ヴェール」などの「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」に使う。[参考]この辞典では、原則として「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」で示している。 (旺文社もほぼ同じ書き方)
このぐらいていねいに書くのがよいと思います。
(ただし、「外来語のVの音」というのは不正確です。 字としてのVは、読み方(音)が決まっているわけではありません。スペイン語ではVの字は「b」の音として読まれます。ここでの「V」は、発音記号としての[v]というつもりの書き方なのでしょう。)
辞書の見出しというのは、基本的に「語」(または「造語要素」)であるので、このような表記の注意書きは、「この辞書のきまり」の「見出しの仮名(表記)」の中で書いておくべきことでしょう。
そして、本文ではせめて、
(「ヴ」 ⇒「ブ」 例、サーヴ⇒サーブ。)
ぐらいの書き方にして、他の「語」の項目とは違うということをはっきりさせたほうがいいでしょう。
わかればいい、というものではないでしょう。