ことば・辞書・日本語文法(2)

日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

言い合う

動詞「言う」には、複合動詞が多くあります。これからしばらく、「言う」の複合動詞を見ていこうと思います。三省堂国語辞典を中心に、いくつかの辞書の記述を比べていきます。

まず初めは「言い合う」です。

 

  言い合う(自他五) ①おたがいに(自分の言いたいことを)言う。②口げんかをする。[名]言い合い  (三国)

 

三国は、複合動詞にあまり用例を付けません。困ったものです。2つの用法があるなら、それぞれに用例を付けるべきです。

 

  新明解 (自他五) ①おおぜいの人が互いに同じ事を言う。「口ぐちに-」②互いに相手をなじったり ののしったり する。「悪口を-」[名]言合い 

  明鏡 ①互いに言う。「口々に意見を━」② 言い争う。「遺産をめぐって兄と━」[名]言い合い

 

このぐらいの例を付けるのは当然のことでしょう。その上で、語釈のよさとか用例の適切さが問題にされます。

新明解の①の「同じ事を言う」というのはどういうことでしょうか。「意見を言い合う」のは「同じ事」なのでしょうか。明鏡の「互いに言う」というのも、これだけでは不十分のように感じます。三国の「自分の言いたいことを」が適切かどうか、もっと多くの用例が必要なところでしょう。