鉛分
新明解国語辞典第七版
えんぶん 鉛分 鉛の成分。
え?「鉛の成分」って、鉛じゃないんですか?
成分 その物を構成している個個の物質(元素)。(新明解)
なんですから。
隣の項目を見てみると、
えんぶん 塩分 海水や食品などに含まれている塩類(の量)。
そうですよね、何か他のものに「含まれている」ものを「~分」と言うんですよね。
「~分」の他の例をさがすと、
灰分 その物の成分としての灰。(新明解、以下も同じ)
金分 その金属の中に含まれている純金の割合。
脂肪分 動植物の体内に含まれる脂肪としての成分(の分量)。脂質。
水分 物の中に含まれている水(の量)。みずけ。
液体。特に、果物・野菜に含まれる汁。
鉄分 成分としての鉄。
これも、何か他のものの中の「成分」でしょう。
糖分 糖類の成分。
ん? これも何となく変ですね。
鉄分 ある物質に含まれる鉄。成分としての鉄。「-の多い水」
大辞林 第三版
鉄分 物に含まれる成分としての鉄。かなけ。「―の豊富な食品」
デジタル大辞泉
糖分 ①糖類の成分。②甘み。
大辞林 第三版
糖分 あるものに含まれる、糖類の成分。また、甘み。「―を控える」
デジタル大辞泉
なるほど。「糖類の成分」というのは、大辞泉の「あるものに含まれる」というのを前につければ、引っかからない表現になるのですね。
最初の「鉛分」もそういうことなのでしょう。大辞林と大辞泉の「鉛分」を。
鉛分 鉛の成分。鉛の含有量。
大辞林 第三版
鉛分 物の中に含まれている鉛の量。
デジタル大辞泉
新明解の「鉛分」と「糖分」が大辞林と同じだということもわかりました。同じ人が書いているのでしょうか。
結局、最初に書いた違和感を解消するには、大辞泉の語釈にちょっと加えて、
物の中に含まれている鉛の成分(の量)
ぐらいがわかりやすくていいんじゃないかと思うのですが。
ちなみに、「鉛分」とは何の成分なのかをネットで検索してみると、「ガソリン中の鉛分」「水道水の鉛分」「ハンダの鉛分」「鉛ガラスの鉛分」などの形で使われています。