新潮現代国語辞典第二版
少し前に、アルファベットの「A」「B」や、ひらがなの「あ」「い」なども国語辞典の項目として立てるべきなんじゃないか、ということを書きました。
その時は、大辞林や広辞苑では項目として立てられているのを知っていたのですが、小型辞典でそうしているものは知りませんでした。
ところが、この「新潮現代国語辞典」は「あ」も「アイ」もちゃんと項目としていることに、今回初めて気が付きました。
あ・ア 五十音図ア行第一の仮名。音節 a 平仮名「あ」は「安」の草体、
片仮名「ア」は「阿」の行書体の偏。〔ヘボン〕
アイ【I・i】①英語のアルファベットの第九字。②【I】1 (iodine)
「沃素」の元素記号。2 ローマ数字で、一。③【i】〔数〕虚数単位。
いいですねえ。大文字と小文字を分けているのは、当たり前と言えば当たり前なのですが、なんか、しっかりやっている感じですね。
「あ」のほうの、「音節 a 平仮名「あ」は~」という続け方は、これでいいのかな、という感じで、「音節 a を表す。平仮名~」とすればいいのに、と思います。
小さい「っ」は、「つ」の中で触れられています。
つ・ツ 五十音図タ行第三の仮名。音節 tsu また、促音の表記に用いる。
昭和二十一年の内閣告示で、「なるべく右下に小さく書く」とされた。(以下略)
「ん」のほうは、ちょっと足りない感じです。
ん・ン 五十音図外の仮名の一。音節 n 平仮名「ん」は「无」の草体、
片仮名「ン」ははねる音を象徴的に示す符号から。
というだけで、撥音を表すことが書いてありません。なぜでしょう。
まあ、それはともかくとして、アルファベットや仮名をちゃんととりあげているのは、素晴らしいことです。
この辞書は、用例がすごいことでも注目すべき辞書です。「あ(感)」の例が、
「エリスは振り返へりて、『-』と叫びぬ〔舞姫〕」
「ー、痛たッ〔平凡〕」
「ー、左様(ソウ)か〔草枕〕」
等々で、「あ」の用例だけで鴎外・二葉亭四迷・漱石の三文豪が動員されるのですから。
何日か前に書いたところを読んだ人で、新潮社の国語辞典のファンの方がもしいらしたら、このバカ何を書いているんだ、と思われたかもしれません。申し訳ありませんでした。(そもそも、このブログを読む人がいるのかどうかも怪しいのですが)