ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

解説と説明

「解説」と「説明」はどう違うんだろうと思いました。

明鏡国語辞典
 かい‐せつ【解説】名・他サ変
  その物事の内容・本質などをわかりやすく説明すること。また、その説明。
  「ニュースの要点を━する」「━者」

 せつ‐めい【説明】名・他サ変
  ある事柄の内容や意味を、相手によくわかるように述べること。「事情を━する」

 

これは、結局同じということでしょうか。「その物事の内容・本質など」と「ある事柄の内容や意味」という記述の違いは、意識的なものでしょうか。単に執筆者のことばづかいが違うだけ?

では、新明解。

 

 【解説】-する (他サ)
  (なにヲ-する) 専門家が(の立場に立って)しろうとや初心者にも分かるように説明すること。
    ニュース-・ -書 ・ -者    [新明解国語辞典第七版]

 

必ずしも「専門家」である必要はないと思いますが、「解説」は何かそういう聞き手との立場の差を感じます。

 

 【説明】-する (他サ)
  (だれニなにヲ(なんだト)-する/だれニなんだト-する)
  それがどういうものであるか(事情で存在し、また起こったか)を、

  相手に分かるように(順序を立てて)言うこと。
   「-を加える(受ける) …の-がつかない -的に言うとこうなる -書」

 

なかなか苦労しているのが感じられます。こういうところは、新明解のいいところだと思います。

でも、今一つはっきりしません。類語辞典ではどう説明or解説されているのでしょうか。

『類語例解辞典』はネットで見ることができます。

 

 [共通する意味]
 ★ある物事について、その内容などがよくわかるように、言ったり書いたりして示すこと。
 「説明」は、中立的で主観をはさむことは少ないのに対し、「解説」は、ある程度、自分の立場や視点を明確にしたり、自分の解釈を含めたりすることが許される。  

  「対比表」の一部
    当局の説明を求める   公害問題についての解説  

                    『類語例解辞典』

 

確かに、「当局の解説」「公害問題についての説明」というと、元の意味とは違うように感じます。

しかし、「説明」が「中立的で主観をはさむことは少ない」というのには、賛成できません。

「当局の説明」というと、「釈明」的な意味合いを持つように感じます。つまり、「中立的で~」というのとまさに逆です。

何かいい説明・解説をしてくれている国語辞典・類語辞典はないでしょうか。今、手元にないものを、これから時々調べてみようと思います。