JKLMNO
前回の続きで、アルファベットのJから。三省堂国語辞典の記述です。
ジェーJ [1](造)〔←Japan〕日本の。「-ホラー」[2](名)←Jリーグ。「-2(ツー)」△ジェイ
なお、明鏡・新明解・岩波には項目そのものがありません。
大辞林を見てみましょう。
ジェー【J・j】 ① 英語のアルファベットの第一〇字。 ② 仕事・熱量・エネルギーの単位ジュール(joule)を表す記号( J )。③ トランプでジャック(jack)の札の記号。
おやおや。日本を表す「J」がありません。大辞泉には、大辞林と同じ3つの用法のほかに、
4 〈J〉《Japan/Japanese》日本または「日本の」を表す略号。「Jポップ」
がちゃんとありました。大辞林はどうしたのでしょうか。
Kはいろいろと使われています。新明解にも、明鏡にも項目があります。
三国
ケーK ①〔←kitchen〕台所。「三-〔=部屋が三つと台所の間取り〕」
(②以下略記)②カラット ③野球の三振 ④キロ △ケイ
新明解
【K】①〔←kitchen〕台所。3-〔=三部屋と台所〕
②〔←オ karaat〕金のカラット。数字の前に添えて書く。K18= 十八金。
明鏡
家の間取りで、台所を表す記号。「二LD━」▽kitchen の頭文字から。
三国が詳しいですね。明鏡はキッチンのみ。
Lは、新明解には項目がありません。
三国
エル L①〔←large〕〔商品サイズの〕大型。「-判(⇔S・M)
②〔←living room〕洋風の居間。リビング。「2-DKのマンション」
明鏡
①衣服などの寸法が標準より大きいこと。M・S「Lサイズ」の略。
▽「L」は、large の頭文字から。
②家の間取りで、居間を表す記号。「三━DK」▽living room の頭文字から。
Mでは新明解が個性的です。(新明解は、どうも記述にムラがあります)
三国
エムM ①〔←magnitude〕マグニチュード〔=地震の規模〕をあらわす記号。「-6」
②〔←medium〕〔商品サイズの〕中型。「-判」(⇔S・L)
③〔←male〕男性。雄。(⇔F)
④〔←masochist〕マゾヒスト(の傾向を持つ人)。(⇔S)
新明解
【M】1〔money の頭(カシラ)文字〕〔以前、学生の間で〕お金。ゲル。
2〔man の頭文字〕男性(的要素)。⇔W
3〔梵(ボン)語 māra の頭文字〕陰茎。 4 ⇒マグニチュード
明鏡
1 衣料品などで、大きさが中位または標準であること。また、その物。⇔S・L
▽「Mサイズ」または「M判」の略。「M」は、middle または medium の頭文字から。
どうして新明解は、「中型」という、ごくふつうの用法を書かないのでしょうか。そういえば、「大型」のLもありませんでした。S・M・Lというのは、ごく普通に使われる記号です。
さて、次はNとOですが、どちらも三国にはありません。新明解・明鏡にも。(岩波は「論外」です)
どうしてなんでしょうか。三国は、「E」には「東」と書いたのだから、「N」には当然「北」と書くべきなんですが。
「私はAで、彼はOなんだけど、相性はどうなのかなあ」と言って、何のことかわからない人は少ないでしょう。
「エヌ」も「オー」も、完全に日本語としての発音ですし。