イニシャル
アルファベットの話の続きです。「イニシャル」について。
イニシャル ローマ字で姓と名を書くときの、それぞれ最初の一字の大文字。頭文字。イニシアル。例、「山本太郎」ならば「Y.T.」(または「T.Y.」)。
明鏡、新明解(「イニシアル」)・岩波などにも項目はありますが、三国が例をあげてていねいに書いています。日本式に「姓-名」の順でまず示し、「名-姓」の順を後に付け加えているのもいいと思います。
で、ここで問題なのは、日本人のイニシャルの書き方、読み方が国語辞典からわかるか、ということです。
上の「Y.T.」なら、「Y」がヤ行の「や・ゆ・よ」のどれかであること、「T」がタ行、または「ちゃ・ちゅ・ちょ」でもありうることがどこでわかるか、です。
三国は、裏表紙の見返しのところに「ローマ字のつづり方」が掲げてあり、「第一表」と「第二表」(いわゆる訓令式とヘボン式)があります。
これは大切なことで、ローマ字の書き方が二種類あるということをはっきり意識している日本人は多くないと思います。
さて、「つづり方」が二種類あるのはめんどうなことで、例えば「千田長治」さんだと、
Tida Tyozi Chida Choji
という違いが出てしまいます。(パスポートのローマ字つづりは、なぜかヘボン式が基本で、上の後者になるはずです。)
このイニシャルの書き表し方、読み方について、辞書本文で触れなくてよいのだろうか、というのが私の疑問です。
例えば、「C」の項に、「[ちゃ・ち・ちゅ・ちょ]のイニシャルとして使われる」、というような情報は要らないでしょうか。
逆に、「訓令式」では「Z」が「ザ行」の他に、その拗音に使われる、というのは案外わかりにくいことなのではないか、と。
多くの人が「じゃ・じゅ・じょ」は「ja ju jo」だと思っているでしょうが、「zya zyu zyo」でいいのだし、ローマ字を習ったばかりの小学生ならそう書くでしょうから。
その辺のことで何か疑問に思ったとき、辞書の本文で(付録ではなく)そういうことがわかるような記述があるといいんじゃないか、と私は思うのですが、どうでしょうか。
訂正:
最初に書いたとき、「千田長治」のローマ字つづりを
Tida Tyouzi Chida Chouji
としたのは誤りでした。(これは、ワープロソフトの「ローマ字入力」の形でした)
一般的に使われる形の、
Tida Tyozi Chida Choji
に直しました。
長音符号の問題は、また別の機会に。