また三国のよくわからない語釈の例です。
柄 ものに取りつけて手に持つ、細長い部分(に似たもの)。
・柄のないところに柄をすげる[句]口実をこしらえて、むりやりおしつける。
「追い込み項目」の[句]の語釈、意味がわかりますか?
「口実をこしらえて」まではわかります。その後に、「仕事をさぼる」のような表現が来れば。
でも、「むりやりおしつける」って何でしょうか。何をどこ/だれに?
押しつける 1おして動けないようにする。2むりにさせる。「いやな仕事を-」
3むりに受け取らせる。4責任を人になすりつける。
さて、どの意味でしょうか。1ではなさそうです。では、2でしょうか。それなら、なにか具体的な「~を」を入れないと状況がわかりません。例えば、「(自分の)いやな仕事を(人に)」とか。
それにしても、それは「柄のないところに柄をすげる」の例になるでしょうか。
どう考えても、この語釈にする理由がわかりません。
他の辞書は、みな似たようなものです。 三国だけがおかしいのです。
むりやりに理屈をつける 明鏡
むりやり理屈をつけてこじつける 現代例解
むりやり理屈をつけることのたとえ 学研現代新
むりに理屈をこじつける 旺文社
この慣用句の意味は、上の説明でだいたいわかるでしょう。あとは、適切な用例があればいいのです。
三国も、あの語釈がぴったり来るような用例をつけてくれれば、あの語釈で何を言いたかったのか、他の辞書とはあえてちがう表現にした理由がわかるのですが。
三国の執筆者は、他の辞書がみな同じような説明をしているのはもちろん知っていたでしょう。だから、よりよい説明、ぴったりした語釈をしようと試みた結果が、上の語釈なのでしょう。その意気込みは買いますが、あれではなんだかわかりません。
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以上のところまで書いて、40分ぐらいたったところですが、もう一度上の語釈を読んで、突然、ひらめきました!
「押しつける」のは、「口実を」なんですね!
口実をこしらえて、(その口実を)むりやり押しつける。
そういう意味なのじゃないか。(いや、それにしても、「押しつける」のは、誰かに対して、なんでしょうか。そこは相変わらずわかりません。)
私は、「口実」が何のための口実か、が必要だろうと思って、上では
口実をこしらえて、仕事をさぼる
という例を出しました。例えば、「仕事をさぼるための口実」と考えたのです。
そして、「押しつける」のは、「口実」そのものではなくて、例えば、自分がさぼる、そのいやな「仕事」か何かを、誰かに、と考えたのです。
そして、それらのことがまったく示されていない三国の語釈は何が何だかわからない、と批判したつもりだったのですが、「押しつける」のは「口実を」だと考えると、少なくとも「~を」だけはわかったことになります。
しかし、「口実を押しつける」って、どういう状況でしょうか。うーむ。やっぱりわからない、、、。