外来語の原語の問題です。
まずは「エアゾール」。三国と新明解が他の辞書とちがいます。
エアゾール ドAerosol 三国
和製洋語 aero + sol 新明解
他の辞書はみな、英語からとします。明鏡・現代例解・旺文社・新選・集英社、それに同じ三省堂の現代新、さらに大辞林、そして大辞泉。
英英辞典を見ると、項目があります。
aerosol a metal container in which a liquid such as paint or hairspray is kept under pressure and relieased as a spray OALD 6th(2000)
したがって、英語にこの語があることは明らかで、新明解の和製洋語説はダメでしょう。
さて、三国のドイツ語説です。「エアゾール」という発音が、英語の[エ(ア)ラソール]のような発音の変化したものだ、というのはむりがあるとも考えられます。「ゾ」ですからね。ドイツ語だと「エアロゾル」でしょうか。化学の用語がドイツ語から、というのはありそうな話です。
さて、「エアゾール」はいつ頃、どこから入ってきたものなのか。その名前を、だれが日本語として使い始め、定着させたのか。
三国の編者は何らかの根拠を持って、こう書いたのでしょう。何か専門家の研究があるのでしょうか。
次は「エアターミナル」です。新明解が「和製英語」とします。
エアターミナル 〔和製英語 ←air+terminal〕空港内の、乗降客が必要な手続きをし、また、送迎にも使用される建物。「東京シティー-」 新明解
現代例解も「洋語」、つまりは和製だという考えです。
他の辞書はみな英語説です。英英辞典を見ると、ちゃんとあります。
air terminal 1 a building at an airport that provides services for passengers travelling by plane 2 (Br E)an office in a city from which passengers can catch buses to the airport OALD 6th
つまり、英語です。
ところで、新明解は「空港内の」建物、としますが、上の英英辞典では2つの意味が書かれています。
(デジタル)大辞泉も2つの意味を書いています。
1 空港内にある、旅客が発着手続きなどをするための建物。
2 空港から離れた市内にある、空港へのバス・鉄道の発着所。シティーエアターミナル。 大辞泉
さらに、新明解の用例「東京シティー-」は、東京箱崎にあるバスターミナルなので、2番目の意味です。空港内の建物ではありません。語釈に合わない用例になってしまっています。
新明解の「エアゾール・エアターミナル」の項は、問題があります。