ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

筆記・書き付ける

短い話。前回の「鉛筆」の話に関連して。

鉛筆は「筆記用具」なのですが、「筆記」はどう説明するのかと思ってみると、

 

  筆記  書きつけること。「-帳・-試験(⇔口述試験)」  三省堂国語辞典

 

ん? 「書き付ける」はちょっと合わないんじゃないかと思いました。

 

  書き付ける  1〔心覚えなどのために〕ちょっと書く。「ありあわせの紙きれに-・歌を-・赤で-」2いつも書いていて、なれている。  三国

 

「筆記試験」で、「ちょっと書く」のではまずいでしょう。しっかり書かないと。(「いつも書いていて、なれている」という優等生でもないし。)

 

  書き付ける  必要な事柄を 備忘のために(求められて)そこに書く。 新明解
  書き付ける  忘れないように、書きとめる。    明鏡
  書き留める  忘れないように書いておく。     明鏡

 

「備忘のため:忘れないように」書くわけでもない。
(明鏡の「書き付ける:書き留める」もなかなかですね。結局同じということでしょうか。)

最初に戻って、「筆記」は、

 

  筆記  見た事・聞いた事や尋ねられた事を、紙やノートなどに書く事。 新明解

 

単に「書く」でよかったんじゃないかと思います。あとはその内容を限定すること。(文体として、やや書きことばだと思うのですが。)