明鏡の語釈が少し足りないように思います。
あからさま 形動 包み隠されたところがなく、はっきりと表に現れるさま。あらわ。おおっぴら。「━に非難する」「━な背任行為」 明鏡
語釈の前半と、類義語としてあげられた「あらわ。おおっぴら。」がずいぶん違うように感じます。
また、この説明だと、「明白」「明確」あたりとどう違うのか、はっきりしません。
-な-に 心中に思っている事をはっきりとわかるように言動や表情に表わす様子だ。「-に〔=はっきり〕言えば・-〔=露骨〕な挑発行為・不満を-にする〔=表明する〕」 新明解
新明解は、事柄のようすではなく、その動作者の様子として説明しています。これだと、「率直」でも当てはまりそうです。
率直 飾ったり隠したりするところがなく、ありのままであること。 明鏡
率直 正しいと思った事をそのまま口に出し、飾りけが無い様子だ。 新明解
ただし、この語釈は「あからさま」の用例には合いません。
「あからさま」の意味合いはもう少し違うところにあると思います。
かくしたりあいまいにしたりしておいた方がよいことを、むきだしにするようす。 例解新
かくさないでありのままを示すようす。露骨。「-に非難する」 三国
例解新は「かくしたりあいまいにしたりしておいた方がよいことを」と書いています。そこまで言えるかどうかはまた問題ですが、そのような意味合いを含むということは示したほうがいいでしょう。
また、明鏡・新明解の「はっきりと」と、例解新の「むきだしに」ではずいぶん印象が違います。
三国は「かくさないでありのままを」は明鏡と同じですが、類義語として「露骨」をあげています。
露骨 1〔相手の気持ちも考えずに〕かくさないで、あらわすようす。「-な敵意」
2人前でかくすべきものごとを、あらわすようす。「-な描写」 三国
こちらには「相手の気持ちも考えずに」とか「人前でかくすべきものごとを」という説明があり、これに近いものを「あからさま」も持っていると考えているようです。
ただ、私の感覚では「あからさま」は「露骨」ほど程度が強くないように思います。
次のような説明はどうでしょうか。
あからさま ふつうははっきり示さないこと、隠すようなことを、意識的にはっきり表す。
これではまだ弱いでしょうか。もうちょっと「露骨さ」を加えたいところですが、うまい言い方が見つかりません。