前回の「黄色人種」で出てきた「肌色」を国語辞典で見てみます。
肌色 1肌の色。肌の色つや。2人の肌のような色。やや赤みがかった薄い黄色。 明鏡
1人間の肌の色(のような、少し赤みを帯びた、薄い黄色)。2その人種としての肌の色。 新明解
1人の肌のような、やや赤みを帯びた薄い黄色。2器物などの地肌の色。 岩波
「赤みがかった/赤みを帯びた 薄い黄色」だそうです。昔の「肌色」のクレヨンはそんな色でしたかねえ。
それと、「人の肌の色」「人間の肌の色」って言うの、ちょっとまずくないかなあと最初に見た時思いました。
これは明らかに日本人(厳密な定義は難しいという話はおいて)のことですね。それを「人・人間」と言ってしまっていいのか。
もちろん、「国語辞典」の中での記述だからこれでいいんだ、ということだとは思いますが、どうかなあと。
1はだの色。2〔はだの色に似た〕黄色みがかった、うすいピンク色。うすだいだい。ペールオレンジ。「-のファンデーション・-のタイツ」 三国
三国は「黄色みがかった、うすいピンク色」です。
「人」も「人間」もなく、「はだの色」です。日本人のことなのは当然。それでいいのかなあ。
おや? 「黄色人種」は、
はだの色が黄色がかったうす茶色をおびて、目とかみの毛は黒い人種。大部分は東洋に住む。モンゴロイド。 三国
でしたが。「はだの色に似た」だから、「黄色人種」の「はだの色」とは違う? この辺もよくわかりません。
どういう色なのかの問題はさておき、この「肌色」という言い方にはちょっと問題があります。
デジタル大辞泉から。
1 肌の色。肌の色つや。2 黄色人種の肌に似た色。やや赤みを帯びた淡黄色。3 器物・刀剣などの地肌の色。
[補説] 2について、以前はクレヨンなど画材の色名として使われた。現在では人種問題への配慮からほとんど使われず、同色を薄橙(うすだいだい)・ペールオレンジなどと言い換えることが多い。 大辞泉
「現在では人種問題への配慮からほとんど使われず」だそうです。
例えば小学校などの、違う肌の色の子どもがいるクラスで、クレヨン・色鉛筆などを使う時、「はい、肌色を塗りましょう」というのはマズイということです。
「コトバンク」というネット上の辞書検索で「色名がわかる辞典」というのが見られます。その解説から。
色名がわかる辞典の解説 はだいろ【肌色】
色名の一つ。JISの色彩規格では「うすい黄赤」としている。一般に、平均的な日本人の皮膚の色を美化したイメージの色をさす。わずかに赤みを帯びた黄色。ただし「平均」とは「多数」を意味し、少数の異なる肌の色をもつ日本人の心情を思いやり、色名として使用しない方が好ましいとの意見もある。7世紀ごろは肉の色を表す宍(しし)色と呼ばれていた。いつごろから肌色という色名が登場したかはわかっていない。英名はフレッシュ(flesh)、またはフレッシュピンクで白人の肌の色をイメージしている。
国語辞典もこういうことに触れたほうがいいんじゃないでしょうか。