久しぶりに。
「強烈」と「強力」はどう違うのか。国語辞典を見てみます。
強烈 堪えられないほど強い様子。「-な印象/-な個性の持主/-なパンチ」 新明解
「堪えられないほど強い」んだそうです。でも、
ゴッホの「ひまわり」を見た。強烈な印象だった。
というのは、「堪えられないほど強い印象」でしょうか。
「強烈なパンチ」なら、「堪えられないほど強い」のかもしれませんが。
力・作用などが強く激しいさま。「━なにおいが鼻を刺す」「━な印象を受ける」 明鏡
力・作用が強くて激しいさま。「―な印象」 岩波
とりあえず、このくらいでいいんじゃないでしょうか。新明解の勇み足。
次に「強力」を見ます。
強力 力・作用などが強いこと。「改革を━に推進する」「━なエンジン」 明鏡
力・作用が大きいこと。強い力・作用。「―な味方」 岩波
力や作用の強いこと(様子)。力強い様子。-な指導力 新明解
明鏡と岩波は「強烈」とほとんど同じですね。「強烈」のほうが「激しい」ことを除いて。
新明解の「堪えられないほど」も「激しい」の言い換えだと考えれば、この3冊、基本的に同じです。
「強烈」と「強力」の違いは、強さの違いでしょうか?
「強烈な印象/個性/体験」などは「?強力な印象/個性/体験」とは言いにくいでしょう。
単に「力・作用などが強い」、あるいはその強さがより「激しい」だけではないのです。
また、「強力な敵/国家」は「強烈な敵/国家」というとちょっと変です。
「強力な支援/サポート」も「強烈な」では言いにくいでしょう。何が違うのか。
「強力なパンチ」は、そのパンチが強いものであることを表すだけですが、「強烈なパンチ」と言うと、それを受ける側の評価が入るのでしょう。「強烈な印象」や「強烈な体験」もそれを経験した人の感想です。
そのことをはっきり書いているのが例解新です。
強烈 相手にあたえるショックが非常につよい。[用例]強烈な印象。[類]激烈。 例解新
「ショック」というのが適切かどうか。心に強く残るもの、なんですが、外にいいことばはないでしょうか。
「相手にあたえる」というのも、「強烈な体験」には合いません。
それでも、例解新のとらえ方がいいだろうと思います。
不十分ですが、改訂案として。
(それを受けた人が感じる)力・作用・印象などが強く激しいさま
新明解と例解新は同じ出版社なのですが、参照していないのでしょうか。