ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

内弁慶

用法が拡張されている語の話。

 

  内弁慶  外ではいくじがないが、家ではいばっている<こと/人>陰弁慶。  三国

    家の中では威張るが、外に出るといくじがないこと。また、そのような人。陰弁慶。「━の外窄そとすばり」  明鏡

      家の中でばかり強がっていて、外では一向に意気地の無いこと(人)。かげ弁慶。   新明解
 

これで一応いいとは思うのですが、「家」だけではこの表現の使われ方の広がりに対して不十分だと思います。

ネットからの実例をいくつか。

 

・内弁慶上司とは? 社内では威勢がよく、いつも部下に対して威張っているのだが、外に出ると一変、急におとなしくなり ...

・内弁慶”なクラブたち  サッカー界には一つの通説が存在する。「ホームチームの方がアウェイチームよりも有利」だという通説だ。 ホームで圧倒的な強さを見せるチームが、敵地に赴くと途端に弱くなる ...

・まさに究極の内弁慶は広島ではなくヤクルト 7月22日、ヤクルトが連敗を14で止めたのも神宮だった

・海外事業で全く成果を出せない「内弁慶体質」のNTTドコモが、インドで土俵際に追い込まれている。

 

「社内:社外」「ホーム:アウェイ」「本拠地:他球場」「国内:海外」の「内:外」に関して「内弁慶」という表現を使っています。

これらの例にも当てはまるような語釈が必要だろうと思います。