新明解国語辞典第八版の項目を検討します。このブログで以前とりあげたものです。(「2017-07-09 E」
「2017-07-16 FGHI」)
「イー E」について。前回の記事では、三国が詳しく書いているが、いろいろ問題がある、ということを書きました。
新明解の七版には、この項目はありませんでした。八版で新しく項目がたてられました。7行もあります。
また、新明解の七版には、「エー A」も「シー C」も「ディー D」もない、ということを別の記事で書きました。(「2017-07-15 ABCD」)
そして、「F」から「Z」まで、三国・新明解・明鏡・岩波がどう扱っているかを書きました。
(「2017-07-16 FGHI」「2017-07-23 JKLMNO」「2017-07-29 PQRSTUVWXYZ」)
日本語の中で使われている多くのアルファベットが、その用法を記述されていないのはよろしくない、国語辞典はきちんと記述すべきだ、ということを述べました。
今回の新明解の改訂でいちばん大きく変わった項目は、これらのアルファベットの項目ではないかというのが、私の個人的な感想です。それまで全く存在しなかったいくつかの項目が、多くの行数を費やして記述されることになったのですから。
「エー A」が12行、「シー C」は9行。「ディー D」は7行。「エフ F」は13行。「ジー G」は9行。「エイチ H」は10行。それぞれ、かなり徹底的に書いていて、面白いです。
(「エフ F」は七版でもなぜか詳しかったのですが、八版ではさらに詳しくなりました。)
それらについて見ていくことはしませんが、一つだけ、個別的な項目について見てみます。
「エッチ」に関して、前回の記事から。
(形動ダ) 性的でいやらしいようす。②(名・自サ) 性交。 三国
② 形動〔俗〕性的に露骨でいやらしいこと。また、その人。「━な話」hentai(=変態)の頭文字からという。
③自サ変〔俗〕性行為を遠回しに言う語。「恋人と━する」 明鏡
②-な〔Hentai(変態)の頭(カシラ)文字で、もと女学生の用語という〕性的な事柄に興味を示す様子だ。「-する〔=(結婚する意志もないのに好奇心にかられて)性行為を行なう〕」 新明解第七版
新明解の「エッチする」の語釈は、いつものことながらかなり個性的でした。(というか、はっきり間違っていたと思います。若い(新婚)夫婦が、「エッチしようか」というのはごく自然な使い方だと思うので。)
今回の改訂では、用例の部分が次のように変えられました。
「-な話/-する〔=(軽い気持ちで)性行為を行う〕」 新明解第八版
ずいぶん普通になったというか、大人しくなったというか。それでも、「軽い気持ちで」なのかどうか、まだ怪しい語釈だと思います。