新明解国語辞典第八版の項目を検討します。このブログで以前とりあげたものです。
(2016-06-26 いいえ:否定疑問)
「否定疑問」の形で聞かれた場合の「いいえ」の使い方です。
いいえ (感)相手が問いかけた事柄について打ち消すことを表わす。「『お好き
ですか』『-嫌いです』/『つまらなくはなかった』『-そんなことはあり
ません』」⇔はい
[文法]「君は昨日は会社に来なかったか」と否定の形式の問いかけを受けた
際に、聞き手が「来なかった」ことを予測した上での問いかけととらえれば
「はい、来ませんでした」となる。また、聞き手が「来たこと」を予測した
上での問いかけだととらえれば「いいえ、来ました」となる。
新明解国語辞典第七版・八版
この最後のところ、「いいえ、来ませんでした」でなければおかしいのでは?
(実際に来たのだったら、「はい、来ました」)
問いと答えを並べると、
「会社に来なかったか?」(来なかったよね?)
はい、来ませんでした / いいえ、来ました
「会社に来なかったか?」(来たよね?)
いいえ、来ませんでした / はい、来ました
こうなるはずですが。
「いいえ」の項目なので、上の[文法]をどちらも「いいえ」の答えが出るように書き直すと、
[文法]「君は昨日は会社に来なかったか」と否定の形式の問いかけを受けた
際に、聞き手が「来なかった」ことを予測した上での問いかけととらえれば
「いいえ、来ました」となる。また、聞き手が「来たこと」を予測した上で
の問いかけだととらえれば「いいえ、来ませんでした」となる。
とすればいいということになります。
参考までに、明鏡の[語法]解説を。
明鏡 相手や自分のことばを打ち消したり反対の気持ちを表したりする語。
いえ。いや。「『連休は旅行ですか?』『-、旅行には行きません』」
「『父はまだ来ませんか?』『-、とっくにお見えです』「『お世話に
なりました』『-、何のおかまいもできませんで…』」⇔はい・ええ
△丁寧な言い方の口頭語。
[語法] 否定疑問の「まだ終わりませんか?」などでは、「いいえ、
もう終わりました」「はい、まだ終わりません」のように、質問内容を
否定するときは「いいえ」、肯定するときは「はい」を使う。