ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

新明解第八版:ここ

新明解国語辞典第八版の項目を検討します。このブログで以前とりあげたものです。(「2017-11-14 ここ」)

 

短い話です。
「ここ」にはいろいろな用法がありますが、ここで問題にするのは「ここ数日」という場合の「ここ」です。

三省堂国語辞典新明解国語辞典から。

 

  きょうまでの短い期間。最近。「-一週間ばかり会っていない」  三国
  現在に近い時間。最近。「-二、三日のうちに」「-へ来て寒さもやわらいだ」  新明解第七版・八版

 

どちらも、過去のこと(「最近」)としています。

 

他の辞書を見ます。

 

  現在を基準としてその前または後の近い日時。「━のところ雨が降らない」「━二三日が山です」   明鏡

  現在を含んだ、ある期間。現在を中心に過去にも未来にも用いる。「-数年、豊作続き」「-数日が山だ」   大辞林

  現在を中心としてその前後を含めた期間をさす。
   ㋐今まで。「―一、二年というもの、病気ばかりしていた」
   ㋑これから。「―数年で街もすっかり変わるだろう」   大辞泉

 

未来のことも言うのは明らかだと思うのですが、三国と新明解はどうしたのか。
 

新明解は八版への改訂で、この項目は見直していないようです。

辞書を改訂するという時、全体の項目を見直してみる、ということはしないのでしょうか。
同じ出版社の大辞林と読み比べてみるだけで、多くの問題点に気付くと思うのですが。