前回の最後に、「ささいなこと」として「・」と「:」の違いについて触れました。
魚のかぞえ方でも、同じようなところがありました。
魚 一尾・一匹:一本・一枚
さんま 一尾・一匹・一本:一枚。何匹か縄で連ねたものは一連
まぐろ 一尾・一匹:一本
かつお 一尾・一匹・一本 新明解第八版
「魚」と「さんま」のコロン「:」の位置が微妙に違っています。何か深謀遠慮があるのでしょうか。
「まぐろ」と「かつお」では、「レタス」と「キャベツ」の違いのように、「・」を使う場合と「:」の場合との違いがあります。これは意図的なものか、どちらかが誤りなのか。
第八版表紙見返しの【記号・略語表】には、「・」の説明として、
説明用記号
・ 用例中、文例・句例の区切り、語例の区切りなどを示す。 新明解第八版
とありますが、「:」(コロン)は取りあげられておらず、説明はありません。
この中黒「・」とコロンの使い分けはどのような基準があるのでしょうか。常識的に言って、コロンのほうが大きな区分けとなるだろうと思われますが。
「魚」と「さんま」のコロン「:」の位置について言えば、「一本」が「一匹」と同じ類か、「一枚」と同じ類か、という問題になるのでしょう。「まぐろ」の「一本」の扱いが正しいとすれば、「魚」のようにするのが正解である、と考えられます。(こう書いたことには何の根拠もありませんが)
「コロン」について、辞典本文では、
コロン〔colon〕欧文の句読点の一つ。「:」(横書きの日本文に用いられることも有る) 新明解第八版
と説明されています。言うまでもありませんが、新明解は縦書きです。しかし、そこでコロンが使われているので、上の語釈のカッコの中は訂正が必要になりそうです。
「:」が用いられているのは「かぞえ方」欄だけではありません。例えば、「あい【間】」には、「〔雅:西日本方言〕」という語の位相の説明があります。ここでもコロンが使われています。
ここまでの話を根本から崩す言い方として、縦書きにおける「・・」は、コロンではない、と主張することもできますが、それならそれで、「説明用記号」の中できちんと書いておく必要があります。
そうなのでしょうか?(その名称は?)
ほんとに、ささいな話でどうも…。