ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

しんみり

新明解国語辞典から。

 

  しんみり -と-する 人の世のはかなさやつらさなどを今さらのように感じ、
    もの悲しい気分にひたる様子。また、その場の雰囲気がもの悲しい感じに
    なる様子。「故人を思い出して-する/昔のことを-と語り合う/戦時中
    の苦労話に座が-とする」  新明解

 

「もの悲しい気分にひたる」「もの悲しい感じになる」と「もの悲しさ」を強調しています。

私も「昔のことをしんみりと語り合う」ことはありますが、別にもの悲しい気分になると限ったわけではありません。

 

三省堂国語辞典では、

 

    1おちついて、静かなようす。しみじみ。「-(と)話す」
    2さびしさや悲しみに、人々の気分がしずんでいるようす。「-(と)した
     通夜の席」   三国

 

用法を二つに分けています。

一つは「しみじみ」ですね。心静かに、ゆったりと、話す。

 

明鏡国語辞典も同じです。

 

    1心静かに落ち着いているさま。「━(と)語り明かす」

    2心が沈んでもの悲しいさま。しめっぽい気分になるさま。「故人を
     しのんで━(と)する」   明鏡

 

岩波国語辞典。

 

    ①心静かに落ち着いているさま。深く心に感じるさま。しみじみ。
     「―(と)話す」
    ②心が沈んでしめやかなさま。「悲しい知らせに一座は―した」  岩波

 

みな、「しみじみと話す・語る」ようです。

悲しいほうは、通夜だったり、故人だったり。

これはまあ、新明解が偏りすぎているようです。