ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

三国第八版:ワン・ツー・スリー…

三省堂国語辞典第八版が第七版からどう変わったか、このブログでこれまでにとりあげてきた項目を見てみます。

 

「2019-11-27 エイト・ナイン・テン・その他」という記事の終わりのところで、

niwasaburoo.hatenablog.com

「些末なこと」として次のようなことを書きました。

 

  例えば、新明解を例にとると、

    ワン   一つ。 
    ツー   二つ(の)。
    スリー  三。

  という書き方の揺れの問題です。なぜ、例えば、  

    ワン   一。一つ(の)。
    ツー   二。二つ(の)。
    スリー  三。三つ(の)。

  というように、記述の形をそろえないのだろうか、という点です。上のように
  並べてみれば、いかにも不揃いで、編集者が形を統一したくなるだろうと思う
  のですが、そうしない。

  それぞれの辞書の書き方を表にしてみます。(我ながらヒマなことをしている
  なあ、と思いつつ。)
  (「ワン」「ツー」…を「1」「2」で表します。空欄は項目自体がない場合です。他の辞書、岩波や集英社などは元記事をご覧ください。)

 

      三国      新明解    三省堂現代新    明鏡

   1 一。ひとつ。  一つ。      一つ。一。   数のいち。ひとつ。
   2 二つ。     二つ(の)。   二つ。二。    
   3 三。三つ。   三。       三。三つ。   数の三。三つ。
   4 四。四つ。   〔四つ(の)〕  四。四つ。   数の四。四つ。
   5 五。      五。 
   6 六。      六。
   7 七。七つ。   七。七つ。
   8 八。      八。       八。やっつ。  八つ。八。
   9 九つ。     九つ。      九。      九。ここのつ。
   10 十。      十(の)。


上の三国は第七版です。

この書き方の不揃いは、三国第八版では直されているでしょうか。


何も変わっていませんでした。上の表のまま。

なぜ「ツー」を「二。二つ。」、「ファイブ」を「五。五つ。」としないのか。
何か特別な理由があるわけはありませんよね。単に編集者が気付いていないだけ。
でも、これでいいと思っているわけでもないとは思うのですが。気づきさえすれば。

(新明解以下の他の辞書も、それぞれ前の版です。たぶん、現在の版でも同じでしょう。)

以上、どうでもいいような「些末なこと」でした。