新明解がよいと思われる項目を。
ともすれば 副 ともすると。 明鏡
〘連語〙→ともすると 岩波
(副)適切な対処(注意)を怠ると、そうなる傾向が現われやすい様子。
ともすると。「-湿りがちな雰囲気を明るくする/-時代の風潮に
流されやすい」 新明解
三国 なし
ともすると 副 場合によってはそうなりやすいさま。どうかすると。ともすれば。
「━怠け癖がでる」 明鏡
〘連語〙何かにつけ…しがち、…になりがちだという情況を言う語。
どうかすると。ともすれば。「―悲観的になる」 岩波
(副)ともすれば。「-、寝坊しがちな昨今」 新明解
副 <ちょっとした理由で/ゆだんすると>、すぐそうなるようす。
どうかすると。ややもすれば。ともすれば。「-気がゆるむ・
-見すごしがちだ」 三国
「ともすれば/ともすると」はほぼ同じように使われるようです。
明鏡と岩波は「ともすると」に解説をつけ、「ともすれば」は「ともすると」を見よ、で済ませます。
新明解は「ともすれば」のほうに解説をつけています。これはまあ、どちらでもいいのでしょうが、新明解は「ともすると」のほうにも用例をつけているのがいいと思います。
三国は「ともすれば」の項目がありません。これはよくないと思います。使用頻度に差があるという判断でしょうか。
さて、その解説の内容ですが、明鏡と岩波は「そうなる傾向」「そうなりがちだ」と言うだけです。
用例は好ましくない内容ですが、よいことにも言えるのかどうか。
三国の例も同様に好ましくない内容です。語釈には「ゆだんすると」とあり、好ましくないことが暗示されていますが、今一つはっきりしません。
新明解は、「適切な対処(注意)を怠ると」として、不注意による好ましくない結果について使われることがよりはっきり示されています。
この4冊の中では新明解がよいと思ったのですが、他にもっとはっきり書いた辞書がありました。
ともすると ある状態になりやすいさま。ややもすると。ともすれば。「-怠け
がちになる」▽多く、好ましくない様子にいう。 集英社
こういう辞書があると、これがいいかなと思います。ただ、用例が一つだけというのはちょっとさみしいです。
「多く」というのは、好ましいことにも使えるということでしょうが、その例はどんなものでしょうか。
こういう場合、例えば好ましくないことの例が3例、好ましいことの例が1例、というふうに用例があげられていれば、なるほど、という気がするのでしょう。
(そうでなければ、好ましくない例ばかり2つの項目で2例ずつ、計4例、とか。)
いつもの「紙幅が云々」という言い訳のため、そういう辞書はないのでしょうが、そうあってほしいものだといつも思います。