ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

このところ、三省堂国語辞典ばかり見ています。「赤」の項を。

 

  赤 ①色の一つ。血や火の色。〔信号の赤は停止を意味する〕

    ②③(略)④←赤組。(⇔白) ⑤以下略

 

この④の「←」は「もとの形」をあらわすということですので(「この辞書のきまり」の中に説明があります)、「赤組」を見てみます。

ところが、「赤組」という項目はありません。さて。

「赤組」なんてことばは、わざわざ項目とするほどのことはない、みんな知ってるじゃないか、と言うのなら、そもそも「赤」が「色の一つ。血や火の色」をあらわすことぐらいみんな知っているでしょうから、わざわざ説明するまでもない、と反論されるでしょう。

気分を変えて、岩波国語辞典の「赤」を見ると、

 

  赤  ②イ 紅白試合で、赤を印にする方の側

 

という説明があります。そこで「紅白」を見てみると、

 

  紅白  赤と白。「-の菓子」「-試合」(赤組と白組とに分かれてする試合)

 

と「赤組」ということばが出てきます。(岩波にも「赤組」という項目はありません)

三国でも「紅白」を見てみると、「紅白戦」という追い込み項目があります。

 

  紅白戦 赤組と白組に分かれてする試合。紅白試合。

   〔特に、同じチームが二組に分かれてする試合を言う〕

 

「赤組」が項目としてないのなら、せめて、上の④を、例えば

 

    ④「←赤組」。〔→紅白戦〕

 

とでもして、この「紅白戦」の項目へ行けるようにしておけば、まだいいのではないでしょうか。