ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

せいぜい:NHKアンケートから

前回の記事で、「せいぜい」について、 一般の日本人の語感ではどうでしょうか。 と書きました。 ネットで検索してみると、「NHK放送文化研究所ウェブアンケート」というのが見つかりました。 そこから抜粋して引用します。 「せいぜい」には、もともとは…

新明解の副詞:せいぜい

新明解国語辞典から。 せいぜい (副)〔中世語「精誠(セイゼイ)〔=誠意を尽くすこと〕」の変化という〕1出来る限りの努力をする様子。「-がんばってくれたまえ/-勉強いたします〔=商人の用語。⇒勉強〕」2どんなに多く見積もったところで、それが限度だと判…

新明解の副詞:重々

新明解国語辞典から。 重々 (副)どんな点から見てもそのように言える様子。「-の不始末/-〔=十二分に〕承知の上のことだ」 新明解 「重々の不始末」とは、「どんな点から見てもそのように言える様子」というのですから、「かなりひどい不始末」くらいのと…

新明解の副詞:たびたび・しばしば

新明解国語辞典と明鏡国語辞典から。 たびたび (副)一回や二回でなく、繰り返し行なわれる(起こる)様子。「自治体のヤミ給与は、これまでも-問題となった/-の警告も無視された」 新明解 副 同じことが何回も起こるさま。何度も。しばしば。「彼は━ここに…

新明解の副詞:しばらく

新明解国語辞典の副詞の記述を検討しています。 しばらく (副)長いと感じられるほどではないが、ある程度の時間を要する(が経過した)ととらえられる様子。「今-お待ちください/彼とは-会っていない/-ぶりの上天気/この問題は-置こう〔=当分の間触れ…

たぶん・間違いなく

前回の記事で、「たぶん」と「間違いなく」の確信の程度の違いについて少し述べました。 私にとってはその違いははっきりしているので特に辞書を見ていませんでしたが、念のため、辞書の記述を少し並べておきます。 たぶん 副《多く下に推量を表す語を伴って…

新明解の副詞:たしか

「たしか」には、副詞の用法と形容動詞(「たしかだ/な/に」)としての用法があります。ここでとりあげるのは副詞のほうです。 「たしか」についての国語辞典の記述で、問題点が二つあります。 一つは、その「確信の度合い」の問題です。 明鏡国語辞典と新…

新明解の副詞:大層

新明解国語辞典の「大層」の項です。 大層 (副)-な (予測に反し)度が過ぎていると思われる様子。「-お喜びのご様子です/-な にぎわいだこと/若僧のくせに-な口をきく」 ⇒ごたいそう 新明解 用例の一つ目、「大層お喜びのご様子です」で「大層」は「…

新明解の副詞:少々

新明解の副詞シリーズ、2回目は「少々」です。 新明解は、他の辞書のありきたりの語釈に不満を持っているのか(邪推?)どうも一言多いように思われます。 少々 (副)分量・程度などが少なくて、大して問題(負担)にはならない様子。「-お待ちください/最後…

新明解の副詞:少なからず

新明解国語辞典は、副詞をかなり本気で扱っていていいと思っていたのですが、まとめていくつか見ていくと、どうもかなり怪しいと思うようになってきました。 そのうちの一つ、「少なからず」をとりあげます。 少なからず その数量や程度が、多い(はなはだし…