ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

鉛分・塩分・鉄分

7年前に「鉛分」という記事を書きました。 niwasaburoo.hatenablog.com 元の記事は新明解の第七版についてのもので、2020年に第八版についてまた書きました。何も「改訂」はされていなかったので、同じ話になってしまいましたが、少し議論を書き足しました…

持ち上がる

三省堂国語辞典の記述から。 もちあがる 1持ち上げた状態になる。「土が-」2〔さわぎ・ごたごたなど、 よくないできごとが〕起こる。(以下略) 三国 「土が(持ち上げた状態になる)」とはどういうことでしょうか。「もちあげる」を見ます。 もちあげる …

簡単

「かんたん」という語は、なかなか簡単ではありません。 岩波国語辞典の記述から。 簡単 〘名・ダナ〙こみいっていないこと。取扱いがたやすく、手数がかから ないこと。⇔複雑。「―な試験」「―明瞭」 岩波 これだけ見ると、これでいいようにも思えますが、他…

ともすれば・ともすると

新明解がよいと思われる項目を。 ともすれば 副 ともすると。 明鏡 〘連語〙→ともすると 岩波 (副)適切な対処(注意)を怠ると、そうなる傾向が現われやすい様子。 ともすると。「-湿りがちな雰囲気を明るくする/-時代の風潮に 流されやすい」 新明解 三国 …

新明解の副詞:まさか

新明解国語辞典の語釈の問題点です。 まさか (副)〔「まさ」は、「まさしく・まさに」の語根と同義。「か」は接辞〕 あるはずがないと確信している事が、意外にも実現した場合を想定する (して信じられないことだと思う)様子。[表記]「真逆」と書くこともある。 [文…

熱い

短い話。新明解と岩波の「熱い」が不十分だという話です。関係する用法だけ引用します。 熱い 物が高い熱をもっていて、接触したり 近づいたり するとからだに強い 刺激を受ける(のが危険だと感じられる)状態だ。「-砂の上をはだしで 駆け回る/-食べ物や…

寒い・暑い・涼しい

新明解国語辞典の記述がどうも変です。 寒い ⇔暑い 気温が低くて、快適に過ごすことが出来ない状態だ。 〔赤道から遠く隔たった地帯やヒマラヤの高山などのように、年間を通じて 気温が低く寒く感じられる所を指すこともある〕「冬の-朝/背筋(セスジ) が寒…

冷たい

「冷たい」についての国語辞典の記述に疑問を感じました。 まず新明解の問題点から。 (形)⇔熱い 1雪や氷に触ったときのように、そのものに触れて、刺すような痛みが 感じられたり皮膚の感覚が失われるように感じられたり する様子だ。「-水/ 風が-/救助…