ウーロン茶
新明解がおかしい項目です。
まずは三国の安定した語釈から。
ウーロンちゃ[烏龍茶] 色が紅茶に似ている、あっさりとした味の中国茶。〔「ウーロン(烏龍)」は中国語。茶の葉の仕上がりの形が竜の爪のようだという〕
「色が紅茶に似ている」という部分、うるさいことを言えばいろいろあるかもしれませんが、わかりやすくていいでしょう。日本茶(緑茶)とは違うのだということ。
明鏡 茶の葉を半発酵させてつくる中国産の茶。赤褐色で独特の香りがある。
明鏡は「赤褐色」と言っています。三国の記述と合わせると、ウーロン茶=紅茶は赤褐色ということになります。旺文社は紅茶の色をそう書いています。
紅茶 茶の木の若葉を摘み取り、発酵・乾燥させてつくった茶。湯を注ぐと汁が紅褐色を帯びるところからいう。 (旺文社)
さて、新明解です。
新明解 〔ウーロンは、「烏龍」の中国音。色が烏のように黒く、葉が竜のように曲がっているところから〕独特な香気がある、茶の一種。中国本土・台湾産。
この「色が烏のように黒く」というのは、やはり茶の色の話でしょう。次に「葉が竜の~」とありますから。「赤褐色」ではないようです。
それと、「葉が竜のように曲がっている」というのも変です。「竜のように」というと、くねくねと何回も曲がった形になってしまいます。そうでしょうか。
三国は「竜の爪」と言っていましたね。岩波もそうです。
岩波 (略)葉が、色は烏に似て黒く、形は竜の爪に似て曲がっているところからの名という。
岩波は、「烏に似て黒」いのは葉だと言っています。そして、葉の形は「竜の爪に似て曲がっている」と。
この食い違い、私には新明解の間違いに思えるのですが。
新明解は、変なところで他の辞書と違う傾向があります。