新明解国語辞典から。
貞淑 〔妻が〕夫の不身持ちや乱暴にかかわらず、家庭を守り、あくまでも
夫を立てて従順を宗(ムネ)とすること(様子)。⇔不貞
そうなんでしょうか。夫が「不身持ちや乱暴」でないと、「貞淑な妻」にはなれないのか。
私が「貞淑」ということばでまず頭に浮かぶのは、「美智子皇后」なんですけどね。違うのかしら?
貞淑 女性が貞操を固く守り、しとやかなこと。「━な妻」 明鏡
これでいいんじゃないでしょうか。
ただし、明鏡の「貞操」はどうもよくわかりません。
貞操 1 正しいみさお。
2 男女が互いに性的な純潔を保つこと。 明鏡
この「2」のほうは、
純潔 1 けがれがなくて清らかなこと。「━な心」
2 異性との性的経験がないこと。 明鏡
の「2」でしょうから、「貞淑な妻」の「女性が貞操を固く守り」には当てはまらない。
すると「1」の「正しいみさお」のことのようです。
操 1 志を変えずにつらぬくこと。節操。
2 女性の貞操。「━を立てる」 明鏡
この「2」です。
つまり、明鏡の説明では、
になってしまって、結局わかりません。
貞操 〔「正しい操(ミサオ)」の意〕女性が配偶者以外の男性と性的関係を結ばないこと。 新明解
「貞操」に関しては新明解のほうがいいようです。
岩波国語辞典(七版)はどうでしょうか。
貞淑 女性の操がかたく、しとやかなこと。
操 2貞操。「-を守る」
貞操 女として正しい操。妻として操を守ること。また、男女が性的関係の純潔を保つこと。
これもだめですね。操とは貞操で、貞操とは(女として正しい)操です。
わかるように説明しようという気がない。
「女性の操」と言えば誰だってわかるだろう。国語辞典はそんな言葉を詳しく説明する必要はない、と考えているのか。
貞淑 〔妻が〕貞操を守り、しとやかなこと。
貞操 〔=正しいみさお〕配偶者や恋人以外の人に、からだを許さないこと。
「-を守る・-観念」
操 2貞操。「-を守る」
「からだを許さない」ですか。なかなかいい表現ですね。
からだ
・体を許す 相手ののぞむままに、性的関係をむすぶ。身をまかせる。はだを許す。 三国
「相手ののぞむままに」ですか。主体的でないんですね。
さらに、「身をまかせる」「はだを許す」など様々な表現が学べて、三国は中学生にとって有益な国語辞典です。
以上の4冊の中では、三国だけがきちんと書いてありました。別に説明の難しい語ではないんですけどね。
それにしても、新明解はどうして偏った見方の語釈になるんでしょうか。以前の主幹のせい?