ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

エーテル

エーテル」には科学史で出てくる仮想上の物質という意味もありますが、それではなく、現在、よく使われる物質のほうです。

 

  エーテル  二個の炭化水素基が酸素原子により結合されたものの総称。また、特にエチルエーテルを指す。▽オランダether ドイツAther  岩波

 

新選・集英社も同じような書き方をしています。

これを読んだ一般読者は、なるほど、とわかるのでしょうか。私には、最初の説明はほとんど何のことかわかりません。もちろん、私の化学知識が乏しいせいですが。

他の辞書は、もっと違った書き方をしています。

 

  〔オether〕2アルコールに硫酸を加えて作った液体。溶媒・麻酔用。   新明解(三国もほぼ同じ)

  〔化学〕「エチルエーテル」のこと。無色で、揮発しやすい液体。麻酔剤や溶剤として使われる。ひろくは「メチルエーテル」をふくめていうことがある。  例解新

  アルコールに硫酸を加えて蒸留したときに得られる、無色で揮発性の強い液体。麻酔剤・溶剤などに使う。エチルエーテル。  明鏡

 

私が見た他の辞書は、だいたいこれらと同じような書き方でした。「液体」で、「麻酔・溶剤用」と言われると、だいたいどんなものなのかがわかったような気になります。

私は、こちらの書き方のほうがずっといいと思うのですが、岩波などの編者はそう考えないのでしょうか。

 

(「仕事・働く」の続きを書く予定でしたが、まとまらないので、もう一日考えます。)