愛する
三省堂国語辞典の「愛する」を見て、ん? と思いました。
愛する(他サ)①愛の気持ちをおこないにあらわす。かわいがる。「子どもを-」
②好む。好きだ。「詩を-」
③(気に入って)たいせつにする。
△愛す。(⇔にくむ) [可能]愛せる。
この①の語釈は何だかわかりません。「愛の気持ちをおこないにあらわす」って、、、、何が何だか。
「あいしてる?」「うん、あいしてるよ」
どういう「おこない」なのか。ふーむ。バレンタインに何か買ってくるとか?
それと、「かわいがる」が並んでいることも、?です。
「犬をかわいがる」と「おこないにあらわす」なら、なでてやっているところが思い浮かびますが。
まさか、子どもの頭をなでてやって、「愛しています」でもないでしょう。
②や③は、どうも人間が対象ではなさそうです。①が、ふつうに言う、「愛している」の意味なんでしょう。さて、編者は何をどう考えて、こういう語釈を作り出したのか。私には謎です。
それと、「愛せる」は「愛する」の可能形と言っていいのかどうか。
やはり、「愛す」の可能形なんじゃないかと。
明鏡国語辞典の「愛する」はなかなかいいです。
①人や生き物にとても好きだという気持ちをもつ。「子供を心からー/犬[蘭]を-」
②異性(まれに、同性)を恋しく思う。焦がれる。慕う。「誰よりも彼を-している」
「-二人/一晩じゅう-・し合う(=性愛の喜びを共にする)」(以下略)
どうですか。国語辞典としてはなかなか踏み込んでいると思います。「まれに、同性」もいいし、「一晩中愛し合う」なんて、辞書の例文としてはかなりカゲキです。
明鏡は、ふつうの語釈と例文のほかに、[表現]と[語法]の欄を作って、いろいろ解説を加えていて、そこもいいと思います。