ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

新明解第八版:医・予報

新明解国語辞典第八版の項目を検討します。このブログで以前とりあげたものです。

(2017-06-24 医)(2013-07-08 予報する)

 

短い話を二つ。

 

   医  患者に適切な指示を与え、適薬を与えたり 必要な手術を施したり して病気を治すこと(技術)。「-は仁術/-者・ 名-・ 外科-」    新明解第七版・八版

 

用例の「名医・外科医」というのは、「~病気を治すこと(技術)」でしょうか。

 

   医(名) [1] ①医術。医学。② ←医学部。[2] (造語)〔-医〕医者。「内科-・開業-」                        三省堂国語辞典

 

三国は「医術」と、造語成分としての「医者」とを分けています。(「医学部」は別として)

明鏡も同じ分析です。

 

   1 名 病気やけがをなおすこと。その技術。「━を業とする」「━療」
   2(造)医者。「獣━・名━・内科━」       [明鏡国語辞典 第二版]

 

「名医・外科医」は、この「医者」と考えるべきでしょう。

もう一つ。

 

   よほう【予報】―する  観測データなどに基づいて、天気などを事前に推測すること(内容)。「―官・天気―」   新明解 第八版(七版は用例が「天気―・―官」でした。なぜか順序を入れ替えています。)

 

「予報」というのは、「報」つまり「しらせる」ことでしょう。「推測する」だけで終わってはいけません。

 

   予測した事柄を知らせること。「降雪を━する」「天気━」  [明鏡国語辞典 第二版]

 

他の辞書も同じです。

 

以上二つ。第七版の内容がほとんどそのまま引き継がれています。これではよくないと思うのですが。