新明解国語辞典第八版の項目を検討します。このブログで以前とりあげたものです。
(2017-08-15 ウーロン茶)(2019-11-10 営業)
「ウーロン茶」は七版とほぼ同じ記述です。([表記]の注記が加わりましたが、それは省略します。)
〔ウーロンは、「烏竜」の中国音。色が烏のように黒く、葉が竜のように曲がっているところから〕独特な香気がある、茶の一種。中国本土・台湾産。 新明解第七版・八版
茶の色と葉の形に関して、他の辞書と違っています。
色については明鏡、葉については岩波を参照します。
明鏡 茶の葉を半発酵させてつくる中国産の茶。赤褐色で独特の香りがある。
岩波 (略)葉が、色は烏に似て黒く、形は竜の爪に似て曲がっているところからの名という。
私には、新明解の誤りのように思えますが、どうでしょうか。
次は「営業」です。こちらも、七版とほとんど同じです。
営業 -する (他サ)(なにヲ-する)商業活動(を行なうこと)。〔法律では、利益を得るための事業を行なうことを指す〕「-停止処分を受ける」「-案内・ -時間・ -中〔=店を開けて商売をしている状態。⇔準備中〕・ 風俗-」 新明解第八版
第七版との違いは、用例の中で「風俗営業」の位置が変わったことだけのようです。
この項目については、前の記事で、次の明鏡の「2」の用法がないことを指摘しました。
名 1 自他サ変(営利を目的として)事業を営むこと。特に、店や窓口を開いて客を相手とする仕事を行うこと。「飲食店を━する」「この店は四時まで━している」「━妨害」「深夜━」
2 会社などで、販売関係の仕事。また、その部署。「総務から━に移る」「その件は━に報告させます」 明鏡
「総務から営業に移る」という用例がいいですね。
新明解には、相変わらずありません。あるべきだと思います。
前に、岩波国語辞典の第八版で、七版になかったこの用法が加えられたことを書きました。(「2020-01-20 岩波八版:会話・あいだ・蹴る・営業」)
新明解は次の版で入れるでしょうか。