ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

もんかしょう

文部科学省を略して「文科省」といいますが、大臣のほうも「もんかしょう」になるはずだな、と思って辞書を引いてみました。

明鏡・新明解・現代国語例解は、

  もんかしょう 文科省 「文部科学省」の略

ということで同じでした。「文科相」はありませんでした。

岩波は、

  もんかしょう 文科相 「文部科学大臣」の略称

だけで、一味違っていました。岩波には「文科省」も、そもそも「文部科学省」もありません。おそらく、固有名詞は載せない、という態度が貫かれているのでしょう。しかしなあ。

なんにせよ、どちらかだけというのは、ちょっと足りないのではないでしょうか。中学生が、「モンカショウ」という言葉を聞いて、辞書で調べるとしたら、両方のことばがのっているべきでしょう。

三省堂国語(六版)は、

  文科省 ←文部科学省

  文科相 文部科学大臣。文科(モンカ)大臣の略

となっていて、ふむ、さすがだな、と思わせます。

 

では、ほかの省、大臣は、と思って「国交省」「国交相」を見てみたら、新明解にも明鏡にもありませんでした。三省堂は今手元にないので調べられません。(訂正:新明解は「国交相」のみあり)

デジタル大辞泉にはどちらもありました。当然の話ですが。)

ということは、辞書編集者にとって、文科省は意識に上りやすい、ということなのでしょうか。