あ
昨日の続きです。
ひらがなをどうするか。例えば「あ」を国語辞典の項目とするか。
広辞苑、大辞林は項目としています。(大辞泉は大辞林とほぼ同じ)
あ ①母音の一つ。口を広く開き、舌を低く下げ、その先端を下歯の
歯茎に触れる程度の位置におき、声帯を振動させて発する。[a]
②平仮名「あ」は「安」の草体。片仮名「ア」は「阿」の偏の略体。
この書き方はちょっと妙だと思います。見出しの「あ」は「母音の一つ」なのでしょうか。
[a]という音を表す「字」なのではないでしょうか。
あ ①五十音図ア行第一段の仮名。後舌の広母音。
②平仮名「あ」は「安」の草体。片仮名「ア」は「阿」の行書体の偏。
こちらのほうがすっきり頭に入ります。ただし、「後舌の広母音」というのはどういう利用者を想定しているのでしょうか。せめて、そのあとに「[a]を表す」と入れてほしいところです。
利用者は、まずその字を目にするわけですから、字の説明から入り、次にその表す音を解説する。その順で説明するのがいいと思います。
まず、大辞林の①の前半がいいでしょう。「ひらがな」であることを添えて。次に、発音。広辞苑のちょっと長い説明。このぐらい書かないと、素人にはわかりません。
カタカナは、並べて別項目にするのが、面倒でもスジだと思います。ひらがなの「あ」に対応するかたかなである、とか。
こういう項目を、五十音すべてについて立てる。
日本語の書き表し方というのも、国語辞典が解説すべきことの一つです。
「歴史的仮名遣い」というのを表示したりするのですから。
また、「君の書いた「あ」は、「あ」と読めないねえ。」などということもあり、「あ」は、その字の呼び名として機能するわけです。
あと、小さい「ゃ・ゅ・ょ」「っ」なども、項目として立てて、説明が必要です。「小さい[や]」という言い方がある以上。
もちろん、ここで「小さい」というのは、たんに手書きの時の字の大きさのばらつきなどの話ではなく、文字の機能として別のものである、ということです。
外来語の表記で必要になる、「ファ・フィ・フェ・フォ・トゥ」の小さい「ァ・ィ・ゥ・ェ・ォ」なども。
すべてをきちんとやろうとすると、なかなか大変ですが。