岩波:南国
岩波国語辞典の話の続きです。
前回は「北東」などがないということを書きました。
今度は「南国」がないという話です。当然「北国きたぐに」も。
あってもいい言葉ですよねえ。「南洋」もなし。「南方」もなし。
岩波の辞典には「北方(領土)」ということばはない、でいいのでしょうか。
なぜこれらの言葉をのせないのでしょう。わかりきっているから?
「南部」もない。「西部」がないと、「西部劇」もわからないでしょう。
ほかの辞書を見てみて、面白いことに気づきました。
新明解は「北国ほっこく」あり、「北国きたぐに」なし。
明鏡は「北国ほっこく」なし、「北国きたぐに」あり。
三国は、両方あり、でした。岩波は、両方なし、です。
それぞれの編者の好みでしょうか。
私は「きたぐに」をよく使い、「ほっこく」は使いませんが、きいてわかります。
岩波の話に戻って、「欧米」はあるんですが、「北米・南米」はないんですね。「西欧」はありますが、「東欧」はない。「北欧・南欧」なし。
「極東」はあるけれども、「中東・近東」はない。
「西洋・東洋」はさすがにあります。「西半球・東半球」もあります。
おお、「北半球・南半球」もあります。これは東西南北が揃いました。
なんとも。岩波国語辞典は非常に個性的な国語辞典です。