ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

岩波:南国

岩波国語辞典の話の続きです。

前回は「北東」などがないということを書きました。

今度は「南国」がないという話です。当然「北国きたぐに」も。

あってもいい言葉ですよねえ。「南洋」もなし。「南方」もなし。

岩波の辞典には「北方(領土)」ということばはない、でいいのでしょうか。

なぜこれらの言葉をのせないのでしょう。わかりきっているから?

「南部」もない。「西部」がないと、「西部劇」もわからないでしょう。

 

ほかの辞書を見てみて、面白いことに気づきました。

新明解は「北国ほっこく」あり、「北国きたぐに」なし。

明鏡は「北国ほっこく」なし、「北国きたぐに」あり。

三国は、両方あり、でした。岩波は、両方なし、です。

それぞれの編者の好みでしょうか。

私は「きたぐに」をよく使い、「ほっこく」は使いませんが、きいてわかります。

 

岩波の話に戻って、「欧米」はあるんですが、「北米・南米」はないんですね。「西欧」はありますが、「東欧」はない。「北欧・南欧」なし。

「極東」はあるけれども、「中東・近東」はない。

「西洋・東洋」はさすがにあります。「西半球・東半球」もあります。

おお、「北半球・南半球」もあります。これは東西南北が揃いました。

  

なんとも。岩波国語辞典は非常に個性的な国語辞典です。