ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

いいえ:否定疑問

新明解の「いいえ」の項にある「否定疑問」に対する答え方がおかしいように思うので。

まずはよいと思う例。明鏡国語辞典の解説を。

 

  明鏡 相手や自分のことばを打ち消したり反対の気持ちを表したり

    する語。いえ。いや。「『連休は旅行ですか?』『-、旅行に

    は行きません』」「『父はまだ来ませんか?』『-、とっくに

    お見えです』「『お世話になりました』『-、何のおかまいも

    できませんで…』」⇔はい・ええ △丁寧な言い方の口頭語。

     [語法] 否定疑問の「まだ終わりませんか?」などでは、「い

    いえ、もう終わりました」「はい、まだ終わりません」のよ

    うに、質問内容を否定するときは「いいえ」、肯定するとき

    は「はい」を使う。     

 

そして、何かかんちがいしているような新明解国語辞典

 

  新明解 相手が問いかけた事柄について打ち消すことを表わす。

    「『お好きですか』『-嫌いです』/『つまらなくはなかった』

    『-そんなことは有りません』」⇔はい

     [文法]「君は昨日は会社に来なかったか」と否定の形式の問い

    かけを受けた際に、聞き手が「来なかった」ことを予測した上

    での問いかけととらえれば「はい、来ませんでした」となる。

    また、聞き手が「来たこと」を予測した上での問いかけだと

    とらえれば「いいえ、来ました」となる。(新明解七版)

 

この最後のところ、「いいえ、来ませんでした」でなければおかしいのでは?

問いと答えを並べると、

    「会社に来なかったか?」(来なかったよね?)

      はい、来ませんでした / いいえ、来ました

    「会社に来なかったか?」(来たよね?)

      いいえ、来ませんでした / はい、来ました

こうなるはずですが。