アイス
三省堂現代新国語辞典から。
アイス 1氷(で冷やしたもの)。「-コーヒー」[対]ホット 2(略)
これはおかしいですね。
「アイス」とはまず「氷」です。確かに。
そして、「氷で冷やしたもの」です。その例が「アイスコーヒー」。
ここまではいいですが、「対義語」が「ホット」だという。それは無理でしょう。
これでは「氷」の対義語が「ホット」になってしまいます。
対義語「ホット」をいいたいなら、この二つの用法を明鏡のように分けたほうがいいでしょう。
アイス 1氷。「━ボックス・━ホッケー」「ドライ━」▽多く他の語と複合して使う。2飲み物などの、氷で冷やしたもの。「━とホット、どちらにしますか」 明鏡
この2の用法の対義語が「ホット」なのです。明鏡は「アイスとホット」という形で、例文にうまく入れています。
また、1の用法について「多く他の語と複合して使う」と注記しています。2のほうはそうでないわけですね。例文の通り。(「アイスコーヒー」という例もあげたほうがいいとは思います。)
新明解は、明鏡の2の用法を「造語成分」としています。
1(造語)氷などで冷たくしたものであることを表わす。「-コーヒー/-ウオーター」 新明解
しかし、こう書いてしまうと、明鏡の用例が反例になってしまいます。
文脈で何か飲み物であることがわかればいいので、「アイス」という言い方は「-コーヒー」「-ティー」などの「省略」だと考えなくてもいいだろうと思います。つまり、「(造語)」というのは限定しすぎです。
(ただ、「アイスコーヒー」の「アイス」は独立できる、切り離せるが、「アイスウオーター」では切り離せないということをどう考えるか、と言われると、形態論・語構成論をちゃんと勉強していない私には何とも答えようがありません。)
なお、同じ題の「2017-02-18 アイス」という記事を書いたことがあります。そこでは、今回は省略した「アイスクリーム・アイスキャンディー」などを「アイス」と省略して言うかどうか、ということを話題にしています。