ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

多く

短い話。

三省堂国語辞典のなんだかわからない用例の話です。

 

  多く  1(名)たくさん(の)もの。「-を語らない」2(副)たいてい。ふつう。「-は」  三国

 

この2、副詞としての「おおく」の用例が「多くは」だけなのです。

これで用例と言えるでしょうか。そのあと、何も続かない。

どういう場合にどう使われるのか、まったくわかりません。

この形だけなら、1の名詞の用法とも言えます。「多くは中学生だった」とか。

 

岩波国語辞典に「多くは」の形を使った用例があります。

 

  多く  ア(略)イ おおかた。たいてい。「この本は-学生が読む」「-はそうならない」  岩波

 

この例では「たいていはそうならない」と同じような意味だ、ということでしょう。これならまだわかります。

上の、三国の「-は」はどういうことを示したかった用例なのか、見当もつきません。