新明解国語辞典のいいところを。
えらそう 実体(内実)はそれに値しないのに、あたかも自分が偉い存在であるかのようにふるまう様子だ。「-な態度/-に説明する」 新明解
語釈、用例共にいいんじゃないでしょうか。
「偉そう」は、他の「~そう(だ)」の形、例えば「寂しそう」とか「寒そう」とか「かわいそう」などとは違って、そこに話し手の批判的な判断が表れているんですね。他にそういう意味合いの語はあるのでしょうか。(「御大層」は話が別ですね。)
そういう特殊な意味合いのある形を、単に「偉い+そうだ」と分析してそれぞれを項目として立てればいいとは考えず、一つの語として項目とする、というのはとてもいいことだとも思います。
他の辞書はどうかと言うと、 ないんですね、項目自体が。(私の見た範囲で)
講談社の類語大辞典にはありました。類語大辞典には、「偉そうにする」という項目まであります。
えらそうな いかにも偉いんだという態度をとる様子。「下っ端の役人のくせにずいぶん~じゃないか」
えらそうにする (個々の言動について)いかにも偉いんだという態度をとる。「賞をとったからといって~な」 類語大
例文が適切かどうかは別として、わかりやすく書かれています。
新明解の「実体(内実)はそれに値しないのに」という部分が類語大辞典にはありませんが、常にそうだと言えるか。
例えば、本当に、(多少は)「偉い」とみなせる人が、「いかにも偉そうにしている」場合はどう考えるか、ですね。
類語大辞典の例では「下っ端役人」ですが、たとえば「副総理」なんて人が「偉そうにしている」と言われ、非難されるのは、(事実は別として)日本語として適切かどうか。
その辺はともかくとして、小型国語辞典としては、新明解はこの語に関していい仕事をしていると思います。