新明解第八版:明かり
新明解国語辞典第八版の項目を検討します。このブログで以前とりあげたものです。
今回は「明かり」です。(2017-03-08 明かり)
あかり ①電灯・灯火などあたりを明るくするもの。「-がつく」
②〔どこからともなく光が差し〕一面に明るい状態。「-がさす/星-」(以下略) 新明解国語辞典第八版
①の用法は当然として、②の用法の語釈がわかりません。
「明かり」は「一面に明るい状態」でしょうか。「明かりがさす」とは「一面に明るい状態がさす」?
三国もほぼ同じです。
〔光を出すもとが見えないで〕いちめんに明るい状態。「-がさす・雪のー」
私の感覚では、「明かり」は「状態」ではありません。「<明かり>がさす」と、その結果、「一面に明るい状態」になるのでしょう。
「明かりがさす」とはどんな状況で言うのでしょうか。
例えば地下の工事現場で事故があり、生き埋め状態で助けを待っているとき、「明かりがさす」と言えば、ある時(どこからだかわからないが)光が差し、まわりがいくらか見えるようになる。その時、差してきた「光」を「明かり」というのではないでしょうか。
新明解の①の用法と合わせて、「あたりを明るくするもの」です。
言い換えれば、「光を出すもの」と「その光自体」です。
この、新明解と三国の「あかり」の語釈は、どうしてこういう解釈になるのか、理解に苦しみます。
それぞれの用例、「星明かり」「雪の明かり」を説明しているのでしょうか。
(「星明かり」は、そのまま「星の[による]明かり[光]」でしょう。その光によってあたりが「一面に明るい状態」になる。「雪の明かり」は、下の岩波参照。)
「明かり」は各辞書で語釈がけっこう違うのですが、私は次の岩波のがだいたいいいのではないかと思います。(他の辞書については、以前の記事「2017-03-08 明かり」をご覧ください。)
暗い中に認められる、まぶしいほどではない光。「ネオンの-」
特に、照明用の光。「-をともす」「-がつく」(略)
△「雪(の)-」のように、光の反射にも言う。 岩波
このような記述に、さらに「(どこからともなく/天窓から)あかりがさす/さしこむ」のような例があればいいのだろうと思います。それと、「照明」自体を指すことと。