今頃・今日
形容動詞の話はひとまず終わりにして、また副詞を。
三省堂国語辞典から。
今頃 「今1①」を中心とした、おおよその時間をさすことば。「-何をして
いるだろう・去年の-」 三国
「今1①」とは。
今 ①過ぎ去ったときでもなく、これから先のときでもないとき。目の前のとき。現在。 三国
これはだめでしょう。
「今頃」の用例「去年の今頃」とはどういう意味なのか。「去年の目の前のとき」?
「去年」は「過ぎ去ったとき」です。「今」ではありません。
「去年の今頃」という用例をあげるのは大いにいいのですが、それは「おおよそ今」ではない。
「今頃」に二つの用法があることに気付いていないのでしょうか。
2現在。今時分。〔直接観察し得ない他人の行動について推測したり 過去や
将来の同一月日・時刻における状態を あるいは思い出し あるいは推測したり
する場合に用いられる〕「-はもう着いているだろう」 新明解
この「過去や将来の同一月日・時刻」ですね。この例として「去年の今頃・明日の今頃」のような用例があるとよかったのですが。
現在の時刻・時期とだいたい同じころ。また、過去または未来で、現在の
時刻・月日とだいたい同じころ。今時分。「いつも━になると眠くなる」
「━はもう着いているはずだ」「去年の━は入院していた」 明鏡
「過去または未来で、現在の時刻・月日とだいたい同じころ。」という説明と、それに合った用例があります。
ただ、用例の順番を変えたほうがいいように思います。「~眠くなる」を「~着いているはずだ」の後にしたほうが語釈と合っていいのじゃないでしょうか。
岩波はこの用法に気付いていないようです。
大体今。今時分。「―は雪が降っているだろう」「―来てもしかたがない」。
当世。ちかごろ。「―の若い者」 岩波
「きょう」にも同じような用法があります。
きょう ①いま経過している、この日。こんにち。(例略)
②同じ日付の日。「去年の-」 三国
三国もこちらは分けて書いています。
新明解・明鏡も分けています。
2 同じ日付(曜日)の日。「去年の-/来週の-」 新明解
2 その日と同じ日付の日。「去年の━近所で火事があった」 明鏡
岩波はこちらもなし。
(今経過しつつある)この日。「―このごろ」(きょうを含めて最近の期間を指す
言い方)▽「このごろ・現代」の意味は無い。その時には「きょうび」と言う。 岩波
三国・岩波はまだまだ改訂すべきところが多くあるようです。(もちろん、新明解・明鏡は他の項目で)