三省堂国語辞典第八版が第七版からどう変わったか、このブログでこれまでにとりあげてきた項目を見てみます。
外来語をいくつか。
ずいぶん前に、「2015-07-31アイドリング」という記事を書きました。
アイドリング 機械の、からまわり。エンジンの、からふかし。「-ストップ」
三国第七版
この語釈はダメでしょう。用例の「アイドリングストップ」の意味と合いません。なお、「からふかし」とは、
からふかし 自動車を走らせないで、アクセルをふんでエンジンの回転を高くする
こと。 三国第七版
第八版では、
1乗り物は止めているが、エンジンをかけたままの状態。「-ストップ〔=二酸化
炭素を出さないように、乗り物の停止時にエンジンも止めること〕」
2すぐに動ける状態で待つこと。待機。「プリンターが-中だ」 三国第八版
ずっとよくなりました。
ちょっと疑問なのは、「乗り物の停止時」でいいのだろうかということ。「停止」というと、交差点での「一時停止」から夜間に車庫にある状態まで含まれてしまうのではないでしょうか。前者ではエンジンを止めたりしませんし、後者では止めるのが当然です。
「停車時」ではないでしょうか。新明解は「駐停車の間」と言っています。
アイドリングストップ〔和製英語 ←idling+stop〕〔自動車で〕二酸化炭素
排出の削減などのために、駐停車の間エンジンを完全に停止させること。
新明解
次は「ウイッグ/ウィッグ」について。(「2017-08-23ウイッグ」)
ウイッグ かつら(鬘)。ウィッグ。 三国第七版
時代劇のカツラは「ウイッグ」とは言わないのでは、と書きました。
第八版では、「ファッション用」で「つけ毛」も加えられました。
ウィッグ ファッション用のかつらやつけ毛。ウイッグ。 三国第八版
もう一つ、「ウイット」について。(「2017-08-21ウイット」)
ウイット〔wit〕気のきいた<ことば/しゃれ>。「-に富んだ話」 三国第七版
他の国語辞典は「ことば/しゃれ」ではなく、
(略)気のきいた言葉やしゃれがとっさに出せる才知。機知。「-に富んだ話」
新明解
「才知/機知」とします。そのほうがいいのでは、と書きました。
第八版では、
機知や機転(の感じられる、ことばやしゃれ)。ウィット。「-に富んだ話」第八版
となりました。「ことば/しゃれ」の意味でも使われるのでしょうから、これでいいと思います。