ことば・辞書・日本語文法(2)

元日本語教師です。ことばと、(日本語)辞書と、日本語の文法について、勝手なことを書いていきます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

肌色

前回の「黄色人種」で出てきた「肌色」を国語辞典で見てみます。 肌色 1肌の色。肌の色つや。2人の肌のような色。やや赤みがかった薄い黄色。 明鏡 1人間の肌の色(のような、少し赤みを帯びた、薄い黄色)。2その人種としての肌の色。 新明解 1人の肌の…

黄色人種

ちょっと微妙な話ですが。新明解から。 おうしょく[黄色]「きいろ」の漢語的表現。こうしょく。-じんしゅ[-人種]〔白色人種・黒色人種に対して〕皮膚が黄色の人種。頭髪は黒い。日本人はこれに属する。 新明解 「黄色人種」の説明として、「皮膚が黄色…

OG・OB

久しぶりに外来語の原語問題です。 オージー[OG]〔←old girl〕<卒業/退職>した、女性の先輩。(⇔OB) 三国 オージー[OG]→オービー(1) オービー[OB]1(在校生に対して)卒業生。先輩。▽old boyの略。女にはgirlを使って「OG」と言う。 岩波 オージー…

縦線・横線

前回に続いて、日常的に使われる語が国語辞典に載せられていないという話です。 「縦線」「横線」はどちらもよく使われることばだと思いますが、三省堂国語辞典にはどちらもありません。 新明解にはどちらもあります。 じゅうせん[縦線]縦の線(筋)。⇔横線 …

表面(おもてめん)

「おもてめん」ということばについて。 例解新国語辞典の「ひょうめん」の項で触れられていることばです。 ひょうめん[表面]1外から見える、もののいちばん外がわの面。[用例]液体の表面。[類] 外面。2もののおもてがわの面。俗に「おもて面」ともいう。…

三国の(感)と〔話〕の関係

三省堂国語辞典の「感動詞」(感)と、「話しことば」〔話〕の関係がよくわからないという話です。 三国が、ある語について「話しことば」という「文体」を注記するのは非常にいいことだと思うのですが、その注記の基準がよくわかりません。 特に感動詞の場…

相(も)変わらず

「相変わらず」と「相も変わらず」の二語をどう説明するか、という問題です。 三省堂国語辞典はあまりはっきりしません。 相変わらず(副)今までと変わらず。あいもかわらず。〔「あいかわりませず」は、ていねいな言い方〕 三国 相も変わらず(副)今まで…

おいそれと

また三省堂国語辞典の語釈が不十分、と思ったら、そんなに簡単な話ではなかった、という項目です。 おいそれと (副)〔下に打消しのことばが来る〕すぐに。簡単に。「-(は)できない」 三国 私の感覚では、「おいそれと」は「すぐに。簡単に。」という語釈で…

おいうち

三省堂国語辞典の語釈の不明確さ・不十分さの問題です。漢字表記の問題も絡みます。 おいうち [追い打ち・追い撃ち] 追いかけてうつこと。追撃。「-をかける」 三国 「追いかけてうつ」の「うつ」の意味がはっきりしません。「追い打ち・追い撃ち」という漢…

多く

短い話。 三省堂国語辞典のなんだかわからない用例の話です。 多く 1(名)たくさん(の)もの。「-を語らない」2(副)たいてい。ふつう。「-は」 三国 この2、副詞としての「おおく」の用例が「多くは」だけなのです。 これで用例と言えるでしょうか。…

アイス

三省堂現代新国語辞典から。 アイス 1氷(で冷やしたもの)。「-コーヒー」[対]ホット 2(略) これはおかしいですね。 「アイス」とはまず「氷」です。確かに。そして、「氷で冷やしたもの」です。その例が「アイスコーヒー」。ここまではいいですが、「対義…

あけましておめでとう

軽い話を。新年のあいさつ「あけましておめでとう」が辞書の項目になっています。まずは明鏡。 【明けましておめでとう】連語 新年が明けたことを祝う挨拶のことば。「━、今年もよろしく」▽口頭語だが、賀状などでも使う。 明鏡 三国はいろいろな情報を加え…